研究課題
グレリンとデスアシルグレリンの消化管ホルモンへの影響を明らかにするため、これまでに、野生型マウスを用いたin vivoでの検討、マウス小腸上皮細胞初代培養系を用いたin vitroでの検討、グレリン過剰発現遺伝子改変動物のうちSAP-ghrelin トランスジェニックマウスの解析を一部行った。昨年度までの検討で、マウスへグレリンを100μg/kgで皮下注射し、GLP-1分泌への影響の検討を行ったが、負荷後のGLP1濃度は、生食群 vs グレリン群で、1.06±0.13 vs. 1.10±0.12であり、有意な差は認めなかった。また、マウス小腸上皮培養系を用いた、グレリンおよびデスアシルグレリン添加実験では、グレリン添加2時間で、Preproglucagon、PYY、GIP、CCK mRNA発現を検討したが、有意な差は認められなかった。さらに、デスアシルグレリンの消化管ホルモンへの慢性作用を検討するため、SAP-ghrelinトランスジェニックマウスの解析を行った。SAP-ghrelinトランスジェニックマウスは、Serum amyloid-P promoterでグレリンcDNAを肝臓で過剰発現するトランスジェニックマウスであり、血中グレリン濃度は、活性型グレリンには差はないものの、デスアシルグレリン濃度が対照の約5.7倍に上昇していた。体重、摂食量に明らかな差は認められなかった。経口糖負荷試験においては、各ポイントでは有意な差は認めなかったものの、血糖曲線のAUCは有意にSAP-ghrelin トランスジェニックマウスにおいて低く、デスアシルグレリンの耐糖能改善作用を確認する結果であった。この際、インスリン分泌には差を認めておらず、インクレチンホルモンへの影響は考えにくい結果であった。現在、インクレチン以外のホルモンも含めて解析を進めているところである。
3: やや遅れている
遺伝子改変動物に関しては、解凍繁殖に時間がかかるため、当初の計画に比べてやや遅延が認められる。
遺伝子改変動物に関しては、飼育スペースの問題や、繁殖スピードの問題はあるが、可能な限り効率的に運用することで研究実施の迅速化を図り、また、他の実験系を併用することでも当初の目的を遂行することを目指す。
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