性ホルモン依存性がんにおける病態解明を目指し、エストロゲン応答遺伝子の同定ならびにその機能解析を行ってきており、独自にエストロゲン応答遺伝子としてEfpを同定した。Efpは乳がん細胞において、細胞周期のブレーキ役である14-3-3σの破壊を担うユビキチンリガーゼであることを解明し、新しい増殖メカニズムとなることを示したが、その他のがん種においては十分に解析されていない。さらに、エストロゲン応答遺伝子としてEBAG9を同定し、乳がん、卵巣がんをはじめ、前立腺がん、膀胱がん、腎細胞がんなどにおいて過剰発現していることを明らかにしている。本研究では、EfpおよびEBAG9のがんにおける機能解析を行った。特に本年度は、子宮内膜がん細胞におけるEfpの作用について解析を行った。Efpを標的としたsiRNA( siEfp )は効率よくエストロゲン受容体陽性のIshikawa細胞とエストロゲン受容体陰性のHEC1-A細胞の両方の細胞において増殖や移動能を抑えることを示した。さらに免疫抑制マウスを用いた子宮内膜がん細胞の皮下移植モデル、同所性移植モデルにおいて、siEfpにより子宮内膜がん細胞による腫瘍形成を抑えることを示した。また、siEfp処理による網羅的遺伝子発現解析により、NFκBのシグナル経路にEfpが関わることを明らかにした。これらの成果は国際誌や学会で発表を行った。本研究によりEfpによる子宮内膜がんの新しい増殖メカニズムを明らかにし、診断・治療法への応用が期待された。
|