研究実績の概要 |
脳腸ホルモン「グレリン」による放射線障害への防護・修復効果の検討の一環として、放射線被ばくによる血球細胞障害へのグレリンの保護効果について、2017年 11/25 の第60回放射線影響学会で学会報告を行った後、2018年 7/21 の第55回 放射線影響懇話会で研究報告を行った。これらの学会・研究会で ①-⑤ の結果報告を行った、①.3-GyのX線全身照射(Xir-3G)を実施したマウスの血中・組織内グレリン濃度(Total-, C8-, C10-ghrelin)を既報のRIA(Hosoda H, BBRC 279, 2000; Nishi Y, Peptides 32, 2011)で測定した。その結果、血中Total-ghrelin 値の照射後 7-30日目での有意な増加と、血中C8-ghrelin の照射後7日目での有意な上昇が確認され、胃内C10-ghrelin 値の照射後7日目の有意な増加が確認された。②.Xir-3G マウスの末血中の赤血球・白血球の経時的な有意な減少に対する C8-ghrelin の静脈内投与(5 micro-g/body x 4 times)の保護効果(血球数減少の抑制と血球数回復の促進効果)が確認された。③.培養リンパ球細胞に Xir-3G を実施した際の細胞死が、培地中への 10nM~100nM のC8-ghrelin の添加で有意に抑制された。④.カルミン色素を混入したカオリン・ペレットを用いたマウスの実験系で(Yamamoto K, J.Radiat.Res)、Xir-5G による異食行動(Pica 行動)が確認され、マウスによる放射線宿酔の半定量測定系が追試された。⑤.C8-グレリンの静脈内投与(5 micro-g/body x 4 times)で Pica 行動の抑制傾向が確認された。
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