研究課題/領域番号 |
16K09818
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
吉田 守克 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (70393212)
|
研究分担者 |
宮里 幹也 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 内分泌 / 生理活性ペプチド / Rhoキナーゼ / オーファンGPCR / 摂食・エネルギー代謝 |
研究実績の概要 |
過食と消費エネルギー低下により生じる肥満は、インスリン抵抗性や糖尿病、脂質異常症、高血圧等の生活習慣病を発症する主要な危険因子であり、これらの集積が動脈硬化疾患の発症・進展に大きく寄与する。近年、低分子量GTP結合タンパク質Rhoのエフェクター分子であるRhoキナーゼ(ROCK)がインスリン及びレプチンシグナルを制御することにより、心血管疾患を含めた生活習慣病において重要な役割を果たすことが相次いで報告されている。 生理活性ペプチドをリガンドとする受容体の多くはGタンパク質共役型受容体(GPCR)であり、内因性リガンドの不明なオーファンGPCR遺伝子が数多く存在する。リガンドが結合したGPCRは、共役するGαタンパク質によって異なる細胞内シグナルを伝達する。Gα12/13に共役するGPCRはRho-ROCK経路を活性化するが、高感度かつ効率的な活性検出は困難であった。そのため、GPCRを受容体とするROCK活性化因子やGα12/13シグナルからROCKを介したインスリン・レプチンシグナルへのクロストーク、それに伴う肥満及び糖脂質代謝改善に対する検証は遅れている。 本研究では、オーファンGPCRによるROCK活性化経路に着目し、摂食やエネルギー代謝、糖脂質代謝の制御に関わる新規生理活性ペプチドを同定し、細胞や個体レベルでの機能解析を行い、新たな食欲・脂肪蓄積調節機構を解明することを目的とする。 平成28年度は、Gα12/13シグナルを検出する新たな手法として、TGFαの膜結合型前駆体からのエクトドメインの切断を指標に、Gα12/13に共役するGPCRの活性化を検出する系(TGFα切断アッセイ)を導入・構築した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リガンド既知な受容体発現細胞に対し、組織抽出物を添加し、TGFα切断アッセイを実施した。その結果、標的受容体特異的な活性の検出に成功した。従来のアッセイ系と比較・検証した結果、本アッセイ系はより特異性の高い検出系であることが明らかとなった。そのため、組織からのリガンド探索に本アッセイ系は有用であると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、組織抽出物からのオーファンGPCRのリガンド探索に本アッセイ系を導入することにより、高感度かつ高精度なリガンド探索を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究計画実施において、消耗品が当初積算額より低価格にて実施できたため、消耗品費の支出が低減できた。また、研究のための情報収集および研究打合せの回数が予定より少なかったため、旅費支出も少ない額となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品の使用が予定より増えることが予想されるため、物品費に充当する予定である。
|