研究実績の概要 |
1.自己免疫性第XIII/13因子(F13)欠乏症(AiF13D)20例について全エクソーム解析を実施した。レファレンス配列と異なる一塩基多型(SNP)、多塩基多型、欠失、挿入は、各々の症例で45,494~49,919個、348~470個、1,236~1,718個、953~1,221個あった。PROVEAN解析したところ、SNPデータベースに未登録の変異が各症例で2,781~3,141個が認められ、この内エクソンの変異は711~846個、イントロンの変異は2,057~2,598個で、前者の内Damaging(進化的保存性が高いアミノ酸の変異、または性質が異なるアミノ酸への置換)は266~365個、Tolerated(進化的保存性が低いアミノ酸の置換で、影響の少ないと考えられるアミノ酸置換)は436~538個だった。Damaging変異のうち、頻度が0.2より大きいものは65変異 (60タンパク質)あり、抗原提示に関係するHLA-IであるHLA-A,B,FやHLA-IIであるHLA-DQA1も含まれていた。 2. AiF13D症例から得られたヒト抗F13-Aサブユニット(F13A)モノクローナル抗体19クローンの内、液相でF13Aと結合した8クローンの認識部位を決定したので、現在、論文準備中である。 3. AiF13D B型の抗F13B自己抗体による血中F13除去亢進の機序を追究するために、抗F13Bモノクローナル抗体をラット腸間膜法にて作製し、構造・機能関連解析を行った。F13B第10 Sushiドメインに結合するクローンはいずれも血漿中でのフィブリン架橋反応を阻害し、また、F13Bかつフィブリノゲン依存性にトロンビンによるF13A活性化ペプチドの切断を抑制した。各クローンともF13-A2B2との結合性はF13Bと同等であったが、多くのクローンが異種四量体形成を弱く阻害した。
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