研究課題/領域番号 |
16K09828
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
黒崎 創 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70464295)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血友病 / 人工染色体ベクター / iPS細胞 |
研究実績の概要 |
人工染色体ベクター(HAC)は、宿主ゲノムを破壊することなく自立複製する極小染色体で、遺伝子搭載サイズに制限がないため、血友病A に対する安全な再生補充療法を実現する上で最適なベクターである。 申請者は最近、血友病マウスモデルから初期化遺伝子搭載HAC によるiPS 細胞取得に成功した。さらに複数コピーの第Ⅷ因子発現ユニット搭載HAC 構築にも成功した。本研究では、このHAC に対し、長期モニタリングを可能にするレポーター遺伝子をHAC に追加搭載する。さらにこのHAC をすでに取得した血友病モデルマウス由来iPS 細胞に移入し、肝芽細胞や血管内皮前駆細胞に分化誘導後、同モデルマウスに移植後治療効果を評価する。本研究はヒトでのHAC を用いた再生補充療法実現の礎となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療用遺伝子、モニタリング用遺伝子発現ともに良好なクローンを取得し、iPS細胞への移入を実施し、また先行している治療用遺伝子搭載ベクタ-を保持するiPS細胞においても分化誘導後、分化マーカー発現は確認できている。この過程において、本課題のメイン実験となる染色体移入技術の進展とより良好なクローンを選定するための規模拡大に耐えうる安価で迅速なスクリーニング法を開発した。
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今後の研究の推進方策 |
治療用遺伝子、モニタリング用遺伝子発現ともに良好なクローンを取得し、引き続きiPS細胞への移入を実施する。また先行している治療用遺伝子搭載ベクターを保持するiPS細胞においても分化誘導後、分化マーカー発現は確認している良好なクローンを選定し、キメラマウス作出を試みる。この過程において、本課題で確立してきた染色体移入技術をさらに発展させる。細胞移植実験についても実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
目的をより精緻に達成するため、計画の一部を見直した。具体的には樹立してきた治療用細胞であるiPS細胞クローン株を増員させる。iPS細胞の安全性、治療への妥当性を再現よく立証するためには必要な追加実験と考えられたからである。治療用細胞クローンを新たに取得し、その性能と品質解析を優先したことが主な理由である。
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