研究課題
先天性角化不全症(DKC)は特徴的身体的所見を伴う先天性の骨髄不全症である。DKCはテロメアを制御する遺伝子群の異常によって発症をすると考えられているが、その約40%の症例は原因遺伝子が同定されていないことが問題である。研究代表者の山口博樹は原因遺伝子が同定されていないDKC症例に対して次世代シークエンサーを用いて新規原因遺伝子の探索を行った。その結果としてテロメラーゼ複合体遺伝子群の1つであるTEP1、Shelterin複合体遺伝子群の1つであるACD(TPP1)、DNAヘリカーゼ遺伝子群であるBLMとPIF1、WRN とRECQL4に新規の遺伝子変異を同定した。本研究はこれら新規に発見された遺伝子変異がどのようにして細胞内のテロメア短縮補正を破綻させDKCの病態に関与しているかを解明することが目的である。今年度は、ACD遺伝子変異の機能解析を行った。ACD遺伝子 p.F461L変異はTINF2との結合領域に認められたため ACDとTINF2の結合阻害によって Shelterin複合体が不安定化することを予想した。野生型ACDを発現していないHEK293細胞にACD p.F461Lを発現させTINF2との結合を免疫沈降法にて解析を行った。しかしACD遺伝子 p.F461L変異はTINF2と結合阻害を起こさず、 Shelterin複合体が不安定化することはなかった。また昨年度に引き続き、TEP1遺伝子変異の機能解析を行うにあたり、HAP1細胞株のknockdown 細胞株の作成を試みた。新たなCRISPER Cas9システムによりTEP1遺伝子改変が行われたことを塩基配列上確認したが、定形外翻訳により予期されていない蛋白が出現しているため目的のknockdown細胞の作成に難渋している。
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Inter Med.
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