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2016 年度 実施状況報告書

HBZトランスジェニックマウスにおけるATL癌幹細胞の同定と分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K09833
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

水上 拓郎  国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 室長 (60415487)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードHTLV-1 / HBZ / transgenic mouse / ATL stem cell / Cancer stem cell / stem cell niche
研究実績の概要

成人T細胞白血病 (ATL) はHTLV-1の感染によって引き起こされ、長期の潜伏期間を経て、クロナールエボルーションを起こし、最終的にモノクロナールなATL腫瘍となる。抗がん剤の奏功率は極めて悪い。我々はATLに関し、様々な癌で報告されている癌幹細胞の存在を仮定し、ATLのマウスモデルであるTaxTgマウスを用いてATL癌幹細胞 の同定に世界で初めて成功した。ヒトATLにおいても同様の幹細胞が存在している証拠がいくつかのグループから報告されている。そこで京都大学の松岡らによって作製されたHBZトランスジェニックマウス(HBZ-Tg)を用いて、ATL癌幹細胞の同定を試みた。
HBZ-Tgの脾臓より分離したATL様細胞(Ht-48細胞)を用い、連続移植実験を実施した結果、移植前の細胞がレシピエントマウス上で再現できたことから、移植細胞中に幹細胞特性を有している細胞が存在することが明らかとなった。そこで、幹細胞分離に用いられているALDH酵素活性を指標としたALDEFLUOR染色及びHoechest33342染色性を利用したSide Population解析を実施した結果、ALDEFLUORではALDH酵素活性の高い細胞は認められなかったが、SP細胞は同定することに成功した。これらの細胞はVerapamilの添加で消失したことから、ATL癌幹細胞(ATLSCs: ATL stem cells)である可能性が示唆された。さらに、表面抗原解析を行い、ATLSCSの表現系の解析を行い、細胞手段を分取することが可能となった。今後は、 ATLSCsの分子基盤をもとに、ATLSCSの特性解析、機能解析を行うとともに、ATL癌幹細胞の発生・維持に必須な分子基盤を明らかにし、それらの分子基盤を元に、新規治療標的となる分子の探索を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は、HBZ-Tg由来の脾臓腫瘍細胞より、(1)幹細胞の存在をバイオアッセイで証明し、さらに(2)幹細胞特性を利用したATLSCs候補の同定、そして(3)表面抗原のスクリーニングにより、ATLSCsの細胞特性を明らかにすることが目的であった。
まずHBZ-Tgの脾臓より分離したATL様細胞(Ht-48細胞)を用い、連続移植実験を実施した結果、移植前の細胞がレシピエントマウス上で再現できたことから、移植細胞中に幹細胞特性を有している細胞が存在することが明らかとなった(課題1)。そこで、幹細胞分離に用いられているALDH酵素活性を指標としたALDEFLUOR染色及びHoechest33342染色性を利用したSide Population解析を実施した結果、ALDEFLUORではALDH酵素活性の高い細胞は認められなかったが、SP細胞は同定することに成功した(課題2)。これらの細胞はVerapamilの添加で消失したことから、ATL癌幹細胞(ATLSCs: ATL stem cells)である可能性が示唆された。さらに、表面抗原解析を行い、ATLSCSの表現型を明らかにし、細胞を分取することが可能となった(課題3)。

今後の研究の推進方策

今後は、 ATLSCsの分子基盤をもとに、ATLSCSの特性解析、機能解析を行うとともに、ATL癌幹細胞の発生・維持に必須な分子基盤を明らかにし、それらの分子基盤を元に、新規治療標的となる分子の探索を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

年度末納品等にかかる支払いが平成29年度4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成28年度分についてはほぼ使用済である。

次年度使用額の使用計画

上記の通り

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Impact of the SCF signaling pathway on leukemia stem cell-mediated ATL initiation and progression in an HBZ transgenic mouse model2016

    • 著者名/発表者名
      Kuribayashi W, Takizawa K, Sugata K, Kuramitsu M, Momose H, Sasaki E, Hiradate Y, Furuhata K, Asada Y, Iwama A, Matsuoka M, Mizukami T, Hamaguchi I.
    • 雑誌名

      Oncotarget

      巻: 7(32) ページ: 51027-51043

    • DOI

      10.18632/oncotarget.10210.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 成人T細胞白血病 (ATL) モデルマウスにおけるATL癌幹細胞の発生維持機構におけるc-kit-SCFシグナルの重要性の解明2016

    • 著者名/発表者名
      水上拓郎, 栗林和華子, 滝澤和也, 倉光球, 佐々木永太, 平舘裕希, 浅田善久, 岩間厚志, 松岡雄雅, 濵口功.
    • 学会等名
      第159回 日本獣医学会
    • 発表場所
      日本大学生物資源科学部
    • 年月日
      2016-09-06 – 2016-09-08
  • [学会発表] HBZ-TgマウスモデルにおけるATL癌幹細胞の発生機序解明を目指した分子基盤の解明とその機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      栗林和華子, 水上拓郎, 滝澤和也, 倉光球, 浅田善久, 岩間厚志, 松岡雄雅, 濵口功.
    • 学会等名
      第3回 日本HTLV-1学会
    • 発表場所
      鹿児島県市町村自治会館
    • 年月日
      2016-08-26 – 2016-08-28
  • [学会発表] The essential role of c-kit-SCF signaling in the leukemic stem cells mediated ATL cell propagation and drug resistance.2016

    • 著者名/発表者名
      uribayashi W, Mizukami T, Takizawa K, Sugata K, Kuramitsu M, Nojima K, Momose H, Iwama A, Matsuoka M, Hamaguchi I.
    • 学会等名
      The 5th JCA-AACR Special Joint Conference
    • 発表場所
      Tokyo Bay Maihama Hotel Club Resort
    • 年月日
      2016-07-13 – 2016-07-15
  • [学会発表] The c-kit-SCF signaling in the leukemic stem cells development and differentiation in ATL model mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Kuribayashi W, Mizukami T, Takizawa K, Sugata K, Kuramitsu M, Nojima K, Momose H, Iwama A, Matsuoka M, Hamaguchi I
    • 学会等名
      RIKEN IMS Summer Program (RISP) 2016
    • 発表場所
      理化学研究所 統合生命医科学研究センター
    • 年月日
      2016-06-10 – 2016-06-17

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公開日: 2018-01-16  

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