研究実績の概要 |
平成29年度は,HBZ-Tg脾臓由来ATL腫瘍細胞内の癌幹細胞の機能評価実験て同定した候補分画を分取し、1x10^4細胞を96wellにて培養し、増殖能を検討した。その際、表面抗原の特徴に合わせたサイトカイン組成を準備し、どのようなサイトカイン環境がATL癌幹細胞の自己複製・維持・分化・増殖に必要か検討した。その結果,c-kitのリガンドであるSCFを添加した条件が特に細胞増殖とc-kit陽性細胞の維持に必須であることが明らかとなった。一方,T細胞を保持するサイトカイン環境ではATL癌幹細胞の自己複製は保持されないことが明らかとなった。 次に,HBZ-Tg脾臓由来ATL腫瘍細胞内の癌幹細胞の機能評価 (in vivo)実験で同定した候補分画を分取し 、1x10^2~x10^5細胞をC57BL6マウスに移植し、腫瘍再構築能を検討した。その結果,c-kit+細胞集団にATL癌幹細胞の自己複製・維持・分化・増殖が確認され,マウスに致死状態が誘導された。よって,c-kit陽性細胞中にATL癌幹細胞が含まれることが明らかとなった。 最後に,ATL癌幹細胞の分子基盤解明(in vivo):実験で同定した候補分画をATL癌幹細胞とし、1x10^5細胞 分取し、1) HBZ-Tg由来腫瘍細胞(Bulk), 2) CD4陽性細胞, 3) CD8陽性細胞, 4) CD4+CD8+細胞, 4) CD4-CD8-細 胞, 5) ATL癌幹細胞および正常マウス脾臓由来の同種細胞をコントロールとして分取し、DNAマイクロア レイを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。ATL癌幹細胞において5倍以上発現している分子についてqPCR法にて確認し,重要なマーカー遺伝子を発見することに成功した。
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