• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

HBZトランスジェニックマウスにおけるATL癌幹細胞の同定と分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K09833
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

水上 拓郎  国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 室長 (60415487)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードHTLV-1 / ATL / HBZ / ATL stem cells
研究実績の概要

平成30年度は同定したATL癌幹細胞(ATLSCs)候補において有意に高く発現している分子を複数同定した。それらに対するShRNAおよび中和抗体による阻害実験を行なった。その結果,in vitroにおいてc-kit中和抗体 (ACK2)による阻害によりATLSCsの自己複製能の低下が認められ,SCF存在下で正常と比較し,ATLSCs分画が1/4程度に減少していた。また,in vivoにおいてもc-kit中和抗体 (ACK2)による阻害によりATLSCsによるATL腫瘍の再構築能の低下が認められ,接種後のマウスの致死率の低下が確認された。また,c-kitのリガンドであるSCFのミュータントを有するマウスの一つ,Sl/Sldマウスをレシピエントとした移植実験においてもATL腫瘍の再構築能の低下が認められ,さらにATLSCs分画の著名な減少を認めたことから,c-kitがATLSCsの自己複製能に影響,および組織への定着と腫瘍の再構築に重要であることが示唆された。そこで,c-kitを指標として,マイクロアレイ解析によって同定されたATL癌幹細胞に高発現している遺伝子の内,複数遺伝子をセレクトし,ノックダウンによるin vitroの影響を検証したが,自己複製能をはじめ,大きな差は認められなかった。よって現時点では,c-kitがもっとも有望な標的分子であることが示唆され,今後の治療標的候補として有用であると考えられた。
最後にATLSCマーカーがヒトでも同様に発現しているかを明らかにする目的で,K562, Jurkat, KG-1, HEL, MT-2, SLB-1, HUT102, ED-1およびTL-om1の遺伝子発現解析した結果,ED-1でc-kitの高発現が認められ,ED-1を用いて詳細な解析を行うことが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在,ヒトにおけるATL癌幹細胞の発現プロファイルを行い,c-kitを含め,マウスモデルで有用な標的分子の発現を確認し,ヒトにおいてもこれらの分子が重要な役割を担っていることが示唆された。現在,これらの情報を論文化している最中である。

今後の研究の推進方策

今後は,ATL癌幹細胞の発生機序について詳細に解析し,どのような細胞に感染したものがATL癌幹細胞になるのか詳細に研究する。特にT細胞に感染したのちに,c-kit陽性の細胞が出現するのか?c-kit発現未熟T細胞に感染するのかを検証し,c-kitがATL癌幹細胞化にいつどこでどのように作用しているのかを突き止めることで,効果的な治療投与時期の解明が可能となる。

次年度使用額が生じた理由

現在まとめているデータを投稿し,論文として出版するため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Characterization of the ATL stem cell (ATLSC) niche and cytokine environment in an ATL mouse model.2018

    • 著者名/発表者名
      Takuo Mizukami, Wakako Kuribayashi, Kiyoko Nojima, Yuki Hiradate, Eita Sasaki, Madoka Kuramitsu, Haruka Momose, Kenji Sugata, Atsushi Iwama, Masao Matsuoka, Isao Hamaguchi.
    • 学会等名
      第79回 日本血液学会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi