研究実績の概要 |
ベルケイドはSP分画に有効であることを以前発表したが(NARA PLoS ONE)、低酸素下では酸化ストレス防御遺伝子が活性化してSP分画にベルケイドが効きづらくなる。ベルケイドを細胞株に投与すると、酸化ストレスとHMOX1の発現が上昇するが、このHMOX1は酸化ストレスから防御する酵素としての働きをもつ。 我々はまず、骨髄腫細胞株を用いて低酸素下でのSP,MPを純化分離することに成功した。 その後骨髄腫細胞株SP,MPについて(8226, KMS11)網羅的遺伝子解析を行ったところ、SP>MPである遺伝子がわかり、代表的遺伝子として、HMOX1, BACH2, DUX4を同定した。これは特に、HMPX1については予想通りの結果であり、さらにこれらの遺伝子はすべて、酸化ストレスに関与している遺伝子であることがわかった。 8226細胞株のSP,MPではHMOX1についてPCRで発現を確認し、SP>MPであった。ベルケイドが低酸素下で効きにくくなる原因として、やはりこの酸化ストレス防御遺伝子であるHMOX1が発現していることが一因と考えられた。 まずは、正常酸素、低酸素でのSP,MPのそれぞれのRNAと蛋白をとり(8226, KMS11)、これらコーディング遺伝子について解析を行っている。また、細胞株を増やして解析し、まずはHMOX1のノックダウンを行うことで、SPの低酸素下での生存曲線を描くこととする。
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