研究課題
当初の研究計画に沿って、平成28~30年度に下記の進捗があった。1)MDS-iPS 細胞の作製:複数のMDS及び二次性AML 症例(MDS/sAML)患者の血液細胞から、MDS-iPS細胞株と正常iPS細胞株の樹立に成功した。2)MDS/sAMLの病態再現:sAML症例由来MDS-iPS細胞から分化した造血前駆細胞では、正常iPS細胞と比較して顆粒球・単球系コロニー形成能の有意な亢進が見られ、免疫不全マウスに生着し致死性のAMLを引き起こした。さらに移植したマウスの骨髄内にpseudopelger核異常など、MDS/sAMLに合致した形態異常の所見が認められた。3)MDS/sAML特異的原因因子の探索:樹立したMDS-iPS細胞のうち、sAML症例由来MDS-iPS細胞の全エキソンシークエンスを行い、FLT3変異を含むいくつかのMDS-iPS特異的遺伝子変異を同定した。平成30年度にはsAML症例由来MDS-iPS由来造血前駆細胞の網羅的遺伝子発現解析を行い、疾患で特異的に変動している遺伝子群を同定した。元の症例の腫瘍内多様性を反映してMDS-iPS細胞にはFLT3変異株とFLT3野生型株が認められた。iPS由来造血前駆細胞をマウスに移植しところ、FLT3変異株でより早期にAML様病態を呈し死亡した。4)新規薬剤スクリーニング:平成30年度にsAML症例由来MDS-iPS細胞から分化した血液細胞株を用いて化合物スクリーニングを行い、細胞増殖を抑制するような化合物をいくつか同定した。今後候補化合物の絞り込みを行う予定である。5)候補因子の機能解析:当該sAML症例においては、MDSからAMLへの進展にFLT3変異の寄与が示唆されたため、FLT3野生型iPS株より誘導した造血前駆細胞に変異型FLT3を遺伝子導入しマウスに移植したところ、白血病化が著明に促進された。
吉田研究室www.cira.kyoto-u.ac.jp/yoshida/
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Haematologica.
巻: - ページ: -
10.3324/haematol.2018.210856.
Blood Adv.
巻: 2 ページ: 390-400
10.1182/bloodadvances.2017013342.