研究課題
難溶性医薬品の溶媒である2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン (HP-β-CyD) が、慢性骨髄性白血病 (CML) 細胞からコレステロールを引き抜き、CML細胞のみならずCML幹細胞にも抗腫瘍作用を示す可能性を見出した (PLoS One. 2015)。本研究では、HP-β-CyDの作用機序をより明確にするとともに、最近の治療法の進歩に乏しい急性骨髄性白血病 (AML) に対する効果についても検討する。さらに臨床応用に向けて、より高い効果を得るために、葉酸など各種修飾を加えたHP-β-CyD の効果についても調べる。本年度はまず、HP-β-CyDの細胞増殖抑制作用がCMLのみではなく他の白血病細胞株でもみられるのかどうかについて調べた。急性骨髄性白血病細胞株HL-60、急性リンパ性白血病細胞株NALM6、T細胞性白血病細胞株Jurkat、MOLT4、成人T細胞白血病細胞株MT1、MT2それぞれでMTTアッセイを行った。いずれの細胞株もIC50は4-8mMであり、対照として用いた肝細胞より有意に低い濃度であった。次にこれらの細胞がCML細胞株と同様にHP-β-CyD曝露によって細胞周期停止をきたすかどうか調べた。その結果、CML細胞株と同じようにG2/M期で細胞周期が停止することがわかった。今後は急性骨髄性白血病細胞を主要なターゲットとして実験を進めていく予定としている。
3: やや遅れている
良質の細胞株をそろえること、試薬の調整に時間を要したことからやや遅れている。
研究計画のとおりに急性骨髄性白血病細胞株に対するシクロデキストリンの抗白血病作用の検証を引き続き行っていく。葉酸修飾シクロデキストリンについてもその効果を調べる。
今年度は、あまり高額な試薬や設備を必要とする実験系を組むことが少なかったことが次年度使用額が生じた大きな要因と考える。次年度は、より多数の細胞株についてそれぞれアッセイを行っていくこと、またin vivoでのマウス白血病モデルを使っての実験を計画していることから、免疫不全マウス購入費や飼育費に多額の費用が必要になるものと想定される。
今年度は、あまり高額な試薬や設備を必要とする実験系を組むことが少なかったことが次年度使用額が生じた大きな要因と考える。次年度は、より多数の細胞株についてそれぞれアッセイを行っていくこと、またin vivoでのマウス白血病モデルを使っての実験を計画していることから、免疫不全マウス購入費や飼育費に多額の費用が必要になるものと想定される。白血病モデルについては、可能であれば実際の患者さんの細胞を用いたPTXモデルを樹立したい。その場合には、超免疫不全マウスが必要である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
Blood Cancer J
巻: 7 ページ: e527
10.1038/bcj.2017.8.
JCI insight
巻: 1 ページ: e86331
Intern Med
巻: 55 ページ: 2703-2706
10.2169/internalmedicine.55.6966.
Int J Clin Exp Pathol
巻: 9 ページ: 7680-7685
巻: 55 ページ: 2061-2064
10.2169/internalmedicine.55.6140.
巻: 55 ページ: 1025-1026
10.2169/internalmedicine.55.5685.
JAMA Neurol
巻: 73 ページ: 474-475
10.1001/jamaneurol.2015.4508.
Ann Hematol
巻: 95 ページ: 653-655
10.1007/s00277-016-2595-0.
Medical Practice
巻: 33 ページ: 1822
日本検査血液学会雑誌
巻: 17 ページ: 434-440
http://www.saga-hor.jp/main/1.html