研究課題
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms: MPN)に分類される本態性血小板血症(essential thrombocythemia; ET)、原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis; PMF)で新たに高頻度の変異が発見されたCalreticulin(CALR)について、その正常造血に果たす役割、および変異型CALRがMPNを発症させる仕組みを解明することを目的とし研究を行った。「変異CALRのin vitro解析」、「変異CALR、及び正常CALRのin vivo解析」の2つのテーマについて一定の成果をあげることができた。前者のテーマでは、まずヒト血球系細胞株の中で、巨核球の形質を有する細胞株の中から、MPLを恒常的に発現している細胞株をスクリーニングした。次にそれらの細胞にCRISPR/Cas9システムを用いてCALR変異をノックインしたところ、細胞増殖の亢進やサイトカイン非依存性が獲得されることを明らかにした。更に詳細なメカニズムを明らかにすべく解析を進めている。後者のテーマでは、MHC classⅠプロモータの制御下に変異CALRを発現するトランスジェニック(TG)マウスを作成し、ヒトET様のMPNを発症することを示した。また、CRIPR/Cas9システムを用いて、ヒトと相同的な変異をノックインしたマウスの作成に成功し、解析を開始している。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画どおりに、使用するDNAコンストラクト作成、ツールとなる技術の確立、細胞株、組み換えマウス樹立などを実施することができた。
今後は、「変異CALRのin vitro解析」テーマについては、変異CALR分子と、それにより活性化されるMPL分子の活性責任部位を同定する研究を進めて行く。「変異CALR、及び正常CALRのin vivo解析」テーマについては、作成に成功したノックインマウスの表現型解析を進めると共に、正常CALR欠損マウスについても、作成と解析を試みていく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
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