研究課題/領域番号 |
16K09853
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
菊地 尚平 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80515792)
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研究分担者 |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345)
宇佐美 信 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10773377)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | HDAC阻害剤 |
研究実績の概要 |
まず選択的HDAC Class IIa阻害剤TMP269が、多発性骨髄腫(MM)細胞株MM-1S、RPMIに対して、Death Receptor 5(DR5)誘導効果をもたらすことをWestern blotting法を用いて、確認した。さらに、DR5の誘導により、リガンドであるTRAIL添付下において、細胞増殖抑 制効果が増強することをMTTアッセイにより確認し、アポトーシス誘導が増強されることをWestern blotting法により確認した。TMP269による誘導効果は、DR5で効果的で、DR4、FASでは十分ではなかった。FASに関しては、FASLを用いた細胞障害試験でも、細胞増殖抑 制効果がみられないことを確認した。また、デコイレセプターであるDcR-2に対しても影響はみられなかった。以上の結果から、TMP269による細胞増殖抑制効果が主にDR5誘導によりもたらされると推測された。 先行論文では、TMP269が、Carfilzomibとの併用下で、ERストレス応答性のアポトーシス誘導効果を介して、細胞増殖抑制効果をもたらすことを報告したが、本研究では、DR5誘導効果を利用し、外因性アポトーシス誘導を効果的に活用することを目的とした。効率 的なアポトーシス誘導併用薬として、IAPsにより外因性、内因性アポトーシスを誘導することが効果的と推測した。IAPsであるBirinapantのMMに対する抗腫瘍効果をMTTアッセイにより検討し、BirinapantがMMに対して、濃度依存性に細胞増殖抑制効果をもたらすこと を認めた。さらにBrinapantが、IAPファミリーのうちcIAPではなく、主にXIAPを濃度依存性に発現抑制をもたらすことを確認し、MM細胞におけるIAP阻害剤の効果がおもにXIAP抑制によりもたらされることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HDAC阻害剤のパートナーとして、IAP阻害剤を検討しているが、細胞株間の増殖抑制効果に差があり、有望なパートナー阻害剤の選択に苦慮している。
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今後の研究の推進方策 |
選択制HDACクラスIIa阻害剤の相乗効果をもたらすパートナー阻害剤の選択に苦慮している。IAP阻害剤を検討しているが、細胞株間の増殖抑制効果に差がありなかなか強力な相乗効果をもたらすことが困難な状況である。おもにIAP阻害剤のうちのBrinapantがMM1Sに対して抗腫瘍効果が高いことを確認しており、MM1Sを用いて、Brinapantの作用機序解析を先行して行い、IAPファミリーの選択制と抗腫瘍効果を検討の後、ほかのConpoundをさらに広げて検討したいと考えている。
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