研究課題/領域番号 |
16K09862
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
田中 宏和 近畿大学, 医学部, 講師 (40360846)
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研究分担者 |
松村 到 近畿大学, 医学部, 教授 (00294083)
頼 晋也 近畿大学, 医学部, 講師 (70460855) [辞退]
森田 泰慶 近畿大学, 医学部, 講師 (80411594)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 多発性骨髄腫 / 幹細胞 / 分子標的 |
研究実績の概要 |
本研究では、多発性骨髄腫(MM)の根絶に向けた取り組みとして、未分化な造血細胞分画から、表面分子と疾患特異的に発現する遺伝子プロファイルをもとにMM 幹細胞を同定し、その生物学的・分子遺伝学的な特性や生体内動態を解析する。さらに、MM 幹細胞の増殖、生存あるいは薬剤耐性に必須の分子を標的とした新規治療法の開発基盤を確立することを目的としている。 本年度は、昨年度見出した未分化なMM細胞に特異的に発現する表面分子Xに関して、MM患者においてCD38+19-45-138+で定義されるMM細胞でのXの発現パターン、及びXを発現するMM細胞の特性について解析した。15例を解析した結果、初発時MM細胞におけるXの陽性率は0.63 %(range: 0.39-0.99)であった。治療後の陽性率は同一症例で比較した結果、有意に増加していたことから、X陽性のMMは薬剤耐性である可能性が示唆された。さらに、X陽性のMM細胞を免疫不全マウスへ移植した結果、4例中2例で骨髄への生着が認められ、移植後6ヶ月時点で患者と同様のモノクローナルな免疫グロブリンの産生が認められた。生着したマウス骨髄のMM細胞のほとんどがX陰性であったことから、X陽性から陰性細胞へと分化し、増殖したと考えられた。X陽性、陰性細胞の遺伝子発現をマイクロアレイを用いて網羅的に比較した結果、X陽性細胞では免疫回避に関わる遺伝子の発現上昇、免疫拒絶に関わる遺伝子の発現低下を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、抽出した表面マーカーを用いて、初発時、さらには治療後に残存するMM 幹細胞の特性解析を行うことを予定した。研究の結果、免疫不全マウスへの移植によりクローナルなB 細胞集団の出現、M 蛋白の産生の有無を確認できた。さらに、遺伝子発現解析を行い、免疫回避、拒絶機構がMM 発症、病態に関わっている可能性を見出し、その機構に関わる分子を絞りこむことができたことから、ほぼ計画通りに研究を遂行できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度分は、主に試薬の購入に充当する費用として算出していたが、予定よりも少額に収まったため、次年度に繰り越すこととした。 次年度以降の遺伝子、タンパクの発現解析などに必要な試薬、細胞をFACSで単離するための抗体、実験動物等に研究費を使用する予定である。 また国内、国外の学会における旅費、論文投稿料にも使用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度分は、主に試薬の購入に充当する費用として算出していたが、予定よりも少額に収まったため、次年度に繰り越すこととした。 次年度以降の遺伝子、タンパクの発現解析などに必要な試薬、細胞をFACSで単離するための抗体、実験動物等に研究費を使用する予定である。 また国内、国外の学会における旅費、論文投稿料にも使用する予定である。
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