研究課題
今年度はコンドロイチン硫酸合成酵素欠損マウスの定常状態とストレス負荷後の造血幹細胞、造血前駆細胞の動態を検討した。まず、コンドロイチン硫酸合成酵素欠損マウスの骨髄中のコンドロイチン硫酸量を測定した。その結果他の臓器と同様に骨髄においてもほぼ50%のコンドロイチン硫酸量であることが判明した。コンドロイチン硫酸のturn over を考慮し週齢による差異も検討したが特に変化は認められなかった。次にコンドロイチン硫酸合成酵素欠損マウスの定常状態における造血を検討した。末梢血液においては白血球数、赤血球数、血小板数に差は認めなかった。一方造血幹細胞分画についてはフローサイトメトリーによる検討では加齢とともに増加する傾向が認められ、髄外造血も亢進する傾向が認められた。さらにマウスに5FUおよび放射線照射を行い、その造血回復動態を検討した。その結果放射線照射後の造血幹細胞、前駆細胞の回復が遅れその結果末梢血液の回復も遅延することが明らかになった。コンドロイチン硫酸が造血に及ぼす機序の検討も並行して行った。骨髄造血には骨髄内の末梢神経の関与が近年明らかにされている。コンドロイチン硫酸合成酵素欠損マウスでは脊髄損傷後の中枢神経の回復能が亢進することが共同研究者により明らかにされているが、末梢神経に対する作用を検討するため、代表的な末梢神経障害モデルである糖尿病性神経障害モデルを作成し、コンドロイチン硫酸合成酵素欠損マウスでは神経障害が軽減されることを見出した。
2: おおむね順調に進展している
おおむね計画どおりに遂行したが、CRUアッセイの準備に時間がかかり、まだ一部のデータが取れていない。機序解析については神経障害モデルを作成し計画以上に進行している。
おおむね順調に進行しており、次年度以降も計画に従い研究を遂行Hしていく予定であるが、一部遅れているCRUアッセイについては準備が整ったので今年度は優先的に進めていく。
研究はほぼ予定通り遂行できているが、試薬代金の執行上残額が若干生じたものである。
次年度早期に執行予定である。
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