研究課題
1.腸炎モデルマウスでの鉄過剰の影響マウスにdextran sodium sulfate (DSS)を経口投与することで腸炎を発症させると血便や体重減少を来すことが知られている。体重をモニタリングすることにより腸炎の重症度を調べる実験を行った。2017年度にはマウス腸炎モデルの確立を行ったが、さらに鉄負荷をあらかじめ行ったマウスと行わないマウスでDDSによる影響の違いを観察した。鉄を極端に過剰に投与するとそれだけで体重減少を来すが、その影響が出ない程度のDSSで前処置を行った。その結果、あらかじめ鉄を過剰に投与したマウスでは体重減少が著明であった。5匹中3匹で死亡を認めたが、それらのマウスの腸管の免疫染色を行った結果、Th17細胞の浸潤が著明であった。さらにGVHDモデルマウスの実験もおこなった。B10D2マウスの脾臓細胞を致死量放射線照射したBalb/Cマウスに移植することでGVHD様の腸炎を生じる実験系を作成した。移植の前2週間DSSを投与したマウスとデキストランのみ投与したマウス、移植後2週間DSSを負荷したマウスとデキストランのみの投与マウスを比べて腸炎の重症度を評価した。同様に移植前のDDS投与マウスにおいて有意に体重減少が激しく、また腸管の免疫染色においても腸管上皮の破壊がすすみ、Th17の浸潤が明らかであった。移植後のDSS負荷については移植後の衰弱が強く十分評価できる結果が得られなかった。改善の必要があると考えている。2.骨髄移植患者検体の検討大阪大学血液・腫瘍内科では骨髄異形成症候群など頻回の輸血を繰り返す症例があり、末梢血のフェリチンの値が上昇している症例がある。一方、鉄キレート剤の投与によりフェリチンの値が改善した症例もある。これらを血液中のT細胞の分画について調べることとした。現在解析中である。
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