全身化学療法後のB型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化は、HBs抗原陽性患者のみならず、HBV既往感染(HBc抗体陽性 and/or HBs抗体陽性)患者においても生じ、劇症肝炎の発症は致死的な合併症となる。今回、CCR4抗体モガムリズマブ投与後の免疫モニタリングに関する多施設共同観察研究(MIMOGA研究:UMIN000008696)登録例を対象とし、HBV既往感染歴を有するATLにおける、モガムリズマブ投与後のHBV再活性化リスクを評価した。全102例の登録例のうち、各施設のHBV血清マーカーを用いた評価で、3例(8.8%)がHBs抗原陽性で、1例がoccult HBV(HBV DNA検出)で、39例(38%)がHBV既往感染と判断された。HBV既往感染39例中34例が少なくとも1回以上のHBV DNAモニタリングが実施された。HBV再活性化は、モガムリズマブ投与後にHBV DNA量が1.3 log IU/mL以上になった場合と定義された。HBV DNAのフォローアップ中央値は475日(範囲:64-2034)で、HBV再活性化を3例(8.8%)に認めた。HBV再活性化3例のピークHBVDNA量はそれぞれ2.5、5.1および8.2 LogIU/mLで、2例はHBV DNAモニタリング中に再活性化し、早期に核酸アナログを開始し、肝障害発症を認めなかったが、残り1例にHBV再活性化関連肝障害を認めた。肝障害を認めた1例は、臍帯血移植後2.2年と晩期に発症しており、同種移植後の免疫再構築による影響を示唆する経過であった。以上、2019年10月の第81回日本血液学会学術総会にて口演発表した(OS2-8A-1)。現在、論文化に向けて保存検体による追加解析中である。
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