研究実績の概要 |
非血縁者間造血細胞移植において、日本人間移植は白人間移植に比べ急性GVHD が低率で、移植後の白血病再発も低率であることが示されているが、その免疫遺伝学的背景は明らかでない。本研究は、国際組織適合性ワークショップにおけるHLA 情報の完備したデータベース(3 万ペアー(内 日本骨髄バンクを介した移植9 千ペアーを含む))を用い、HLA アリルとHLA ハプロタイプという免疫遺伝学的情報に基づく人種別の移植免疫反応を解析することで、各人種が共有する、あるいは人種特有な移植関連責任遺伝子を解明する。 H28年度は国際組織適合性ワークショップのデータベースへのJMDP(日本骨髄バンク)を介して実施された非血縁者間骨髄移植データの取り込みを行った。HLA 遺伝子型(HLA-A, B, C, DRB1, DQB1, DPB1)と臨床データが判明している症例(約9000 ペアー)のデータを連結不可能匿名化した後に、HCT component データベース(データ管理機関:Fred Hutchnson Cancer Research Center、シアトル、米国 責任者Effie W. Petersdorf 博士)に送付した。 H29年度には、JMDPだけでなく他国のデータと結合した非血縁者間造血細胞移植データベースをワークショップ事務局とともに作成した。2017年9月現在で28,460ペアー(患者人種:白人 15321, アジア人(JMDP 8751, その他 616)、アフリカン 1328、ヒスパニック 404)につき人種別、HLA適合度別に生存、非再発死亡、急性GVHD、慢性GVHDとの関連解析を臨床データを変数とした予備的多変量解析を実施し、人種による有意な違いを見出している。さらに約3000ペアーを加えた最終解析ファイルがH29年度3月に完成し、次年度の本格解析の準備ができた。
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