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2016 年度 実施状況報告書

抗リン脂質抗体症候群の流産モデルマウスの作成

研究課題

研究課題/領域番号 16K09885
研究機関北海道大学

研究代表者

奥 健志  北海道大学, 大学病院, 助教 (70544295)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード抗リン脂質抗体症候群 / C1q / C5a / 流産モデルマウス / 抗C1q抗体
研究実績の概要

抗リン脂質抗体症候群(APS)は習慣流産をその主要な病態像として有するが、研究者はAPS患者での検討から、補体活性化がAPS流産の一因であると考え、APS患者を含めた習慣流産患者に高率に補体古典経路第1蛋白(C1q)に対する自己抗体が出現していることを発見した。本研究では抗C1q抗体を投与しマウス流産モデルを作成する。
H28年度はマウスモノクロナル抗C1q抗体であるJL-1をbalb/cマウス, C57BL/6マウスに投与してその効果を確認した。投与量・スケジュールはAPS患者血清をマウスに投与する既存の「APSモデルマウス」を参考にして、500μg/kgを胎盤プラグ確認をday0として、day8,12に尾静脈より投与して、day16に屠殺して流産を評価した。
その結果、JL-1投与群はコントロール抗体投与群に比べ、胎仔数、胎盤重量のいずれも有意に低下し、胎仔吸収率が有意に上昇した。また、補体経路活性化に伴い出現するペプチドであり炎症惹起作用を有する穴フィラトキシンである血中C3a濃度の上昇を認め、胎盤病理においてC1q, C3, C4dの沈着を有意に亢進させた。これらからJL-1は胎盤局所及び全身の補体系活性化を促し、その結果として流産をきたすと考えられた。また、抗C5a受容体抗体の投与は流産を回避させ、胎仔重量の回復も認められ、抗補体治療が効果的に流産を抑制することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

positiveな結果が出ており当初の計画以上に進展している。

今後の研究の推進方策

SLEモデルマウスであるMRL/lprマウスは加齢に伴い、抗C1q抗体を産生することが知られている。平成29年度は同マウスよりモノクロナル抗C1q抗体を同マウスより精製し、2次的にマウスに投与することによってJL-1と同様の効果が得られるか確認する。また、APSで特徴的な補体調節因子異常(H因子低下など)を加味してモデルを作成し(例えばH因子KOマウスに抗C1q抗体投与)、H28年度に作成したモデルに対して追加的な効果やAPS重症例で認められるような胎盤及び他臓器への血栓症の合併があるか確認する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Complement and thrombosis in the antiphospholipid syndrome2016

    • 著者名/発表者名
      Oku K, Nakamura H, Kono M, Omura K, Kato M, Bohgaki T, Horita T, Yasuda S, Atsumi T
    • 雑誌名

      Automimmunity Reviews

      巻: 15 ページ: 1001-1004

    • DOI

      10.1016/j.autrev.2016.07.020

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Autoantibodies against a complement component 1 q subcomponent contribute to complement activation and recurrent thrombosis/pregnancy morbidity in anti-phospholipid syndrome.2016

    • 著者名/発表者名
      Oku K, Amengual O, Hisada , Omura K, Nakagawa I, Watanabe T, Bohgaki T, Horita T, Yasuda S, Atsumi T
    • 雑誌名

      Rheumatology(Oxford)

      巻: 55 ページ: 1403-1411

    • DOI

      10.1093/rheumatology/kew196

    • 査読あり
  • [学会発表] 抗リン脂質抗体症候群と補体活性化2016

    • 著者名/発表者名
      奥健志、大村一将、渥美達也
    • 学会等名
      第31回日本生殖免疫学会学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2016-12-01 – 2016-12-01
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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