研究課題
ANCA関連血管炎(AAV)や全身性エリテマトーデス (SLE)は遺伝要因と環境要因により発症に至る多因子疾患であり、まだ未同定の疾患感受性遺伝子が多数存在する。本研究では、AAVおよびSLEを対象とした発現解析による発現変動遺伝子の検出、さらに、検出された遺伝子の発現を変化させうるSNPを候補とした疾患関連研究により、新規SLE・AAV疾患感受性関連遺伝子の同定を試みた。2018年度は、AAV 8例、SLE 8例、健常対照者 14例のマイクロアレイ解析より取得した末梢血RNA発現データを用いて、long non-coding RNA (lncRNA)に着目して解析を行った。発現データの取得には、SurePrint G3 Human GE microarrayを用いた。AAV群、SLE群と健常群でlncRNAの発現レベルを比較したところ、健常群との比較において、AAVで20個、SLEで25個のlncRNAで発現変動(|Fold change| > 2、補正後P値<0.01)が認められた。これらのlncRNAについて、データベース解析により発現と関連するSNP (eQTL SNP)および発現制御領域に位置するSNPを各疾患について96個選択し、AAVおよびSLE疾患感受性との関連を調べた。lncRNA ATP6V0E2-AS1の発現は、顕微鏡的多発血管炎(MPA)群において有意に低下していた(Fold change -4.4)。さらに疾患関連研究では、ATP6V0E2-AS1遺伝子の近傍に位置し、遺伝子発現制御領域に位置するSNPにおいて、MPA(補正後P=0.010、オッズ比1.36)およびMPO-ANCA陽性血管炎(補正後P=0.0029、オッズ比1.41)との有意な関連が検出された。一方、SLEにおいては、lncRNA関連SNPとの有意な関連は検出されなかった。
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http://www.md.tsukuba.ac.jp/community-med/publicmd/GE/