研究実績の概要 |
本研究は、関節リウマチ(RA)にて特異的に減少するmiRNA-124.3pの標的mRNAに狙いを定め、RAの病態の中心である滑膜繊維芽細胞やラット関節炎モデルを用いて、RAの病態におけるmiRNA-124.3pの作用機序を詳細に明らかにすることを目的にする。平成29年度は(段階1)CTGF,AdipoR2,MAPK14がmiRNA-124.3pの標的分子であるかを検討する方針を立てた。RA患者由来滑膜細胞(RA-FLS)および、RA患者由来滑膜細胞株(E11)について、PCR・組織染色・フローサイトメーターを用いて、CTGF,AdipoR2,MAPK14の発現を確認する。E11にmiRNA-124.3p前駆体をリポフェクタミン2000と混合して添加し、miRNA-124.3pをRA-FLSに強制発現させて、CTGFの発現の変化をPCRやウェスタンブロットで検討する。CTGFの発現減少が見られたならば、CTGFmRNAの3’UTRの配列をPCRにて増幅しルシフェラーゼベクターに組み込み(CTGF-Luc)、E11細胞にpre-miRNA-124.3pとCTGF-Lucをコトランスフェクションして、CTGF-Lucの活性が低下するか検討する。CTGF-Lucの活性が低下した場合、3’UTRの配列のミュータントをつくり特異性を確認する。また、RIPアッセイを用いて、RISC複合体に結合したmiRNA-124.3pに結合したCTGFmRNAをPCRにて定量し、RISCにmiRNA-124.3pとCTGFmRNAの複合体が濃縮されているか確認する。同様のルシフェラーゼアッセイおよびRIPアッセイ系を用いて、AdipoR2mRNAやMAPK14mRNAとmiRNA-124.3p戸の特異的複合体を確認する。
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今後の研究の推進方策 |
(段階1)CTGF,AdipoR2,MAPK14がmiRNA-124.3pの標的分子であるかの検討を平成30年度前半に行い、(段階2)の計画に取り組む。(段階2)miRNA124.3pが滑膜繊維芽細胞のCTGF,AdipoR2,MAPK14の発現に与える変化の解析。CTGF,AdipoR2,MAPK14それぞれ固有の刺激系が知られているので、その系をもちいて、miRNA124.3pのCTGF,AdipoR2,MAPK14機能への影響について検討する。①CTGFは滑膜繊維芽細胞においてTNFアルファにより誘導されることが知られており、premiRNA124.3pをRA-FLSやE11にトランスフェクションした後にTNFアルファを」添加し、CTGFの発現に与える影響を培養上清のELISAにて検討する。②アディポネクチン歯RA-FLSに添加するとIL-6,IL-8,MMP3の発現を誘導することが知られており、pre-miRNA124.3pをRA-FLSやE11にトランスフェクションした後にアディポネクチンを添加し、IL-6,IL-8,MMP3Fの発現に与える影響を培養上清のELISAにて検討する。③MAPL14は、LPS刺激でTLRを介して活性化され、NFkB経路でIL-1やTNFアルファの発現を刺激するので、premiRNA124.3pをRA-FLSやE11にトランスフェクションした後にLPSを添加し、IL-1やTNFアルファの産生を培養上清のELISAにて検討する。
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