研究実績の概要 |
本年度はマウスを中心に検討を行った。 (1)マウス末梢血において、ILC1~3を同時に同定・単離できる表面マーカーの組み合わせを検討し、Lineage marker陰性分画中の、NKp46-CCR6-NK1.1+をILC1、NKp46-CCR6-IL-33R+をILC2、NKp46+ or CCR6+をILC3とした。目的とする細胞集団が正しく単離できているかどうかを確認するために、マスター遺伝しとしてILC1,2,3におけるT-bet, GATA-3,RORgtの発現を、サイトカイン産生能としてILC1,2,3におけるIFN-g, IL-13, IL-17Aの発現を評価し、この染色方法によりILC1~3は正しく単離できると判断した。 (2)(1)の染色法を用い、コラーゲン誘導性関節炎モデルマウスの末梢血、膝窩リンパ節、関節局所におけるILCの絶対数・割合を検討した。正常マウスと比較して、コラーゲン誘導性関節炎モデルマウスの末梢血、膝窩リンパ節、関節局所においては、ILCの総数が増加する傾向にあった(統計学的有意差なし)。ILCの中では、関節局所のCCR6+ILC3分画の割合が増加していた(統計学的有意差あり)。 (3)コラーゲン誘導性関節炎モデルマウスの各ILC分画のサイトカイン産生能を検討した。(2)で増加を認めたCCR6+ILC3分画のIL-17A, IL-22産生能が著明に増加していた。 以上の結果から、コラーゲン誘導性関節炎モデルマウスにおいて、CCR6+ILC3が関節炎の病態形成に何らかの役割を果たしている可能性が考えられた。
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