研究課題
リコンビナントAIF-1/抗AIF-1抗体の作成:リコンビナントAIF-1は、ヒトAIF遺伝子を末梢血リンパ球のcDNAよりPCR法にて増幅させ、得られたDNA fragmentを、GST purification systemと抗AIF抗体のアフィニティークロマトグラフィーにより、融合タンパク質を精製した。モノクローナル抗体は、上記蛋白をウサギに免疫し血清を精製後、マウスの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞を共存培養で細胞融合し、ハイブリドーマを作成して精製した。ブレオマイシン誘導肺線維症マウスモデルにおけるAIF-1の病因的意義の検討:8~10週齢のオスC57/BL6マウスに、ブレオマイシン経気道散布して作成した肺線維症マウスモデルの急性期においてBALF中にAIF-1が発現し、マクロファージや肺線維芽細胞からTNF-α、IL-6は分泌して炎症と組織破壊を、肺線維芽細胞からはKC (CXCL1)を分泌してケモタキシスを誘導する事が示唆された。慢性期においてもマクロファージにAIF-1が発現し、線維化に関与する増殖因子であるTGF-βを分泌し、肺線維芽細胞の遊走増殖能を有していた。平成30年度の研究で、AIF-1遺伝子をノックダウンさせたマクロファージ系の樹状細胞をT細胞と共培養した系では、非特異的抗原刺激によるT細胞の増殖を抑制する事が明らかになった。これらの事からAIF-1はマクロファージより肺線維化に関わるTGF-βなどの分子を産生誘導するとともに、免疫系を賦活し、肺線維芽細胞による肺線維化の病因に関与する事が明らかになった。今後、肺線維化を惹起するAIF-1の生物活性について、繊維芽細胞のepithelial mesenchymal transition (EMT)への関与、また、AIF-1遺伝子をノックダウンした単核球の免疫機能について検討し、肺線維化のメカニズムを明らかにしていく。
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