研究課題
われわれは69名のneuropsychiatric systemic lupus erythematosus (NPSLE) の脳脊髄液(cerebrospinal fluid, CSF)を用いて、液性因子(inflammatory mediators, IMs)と自己抗体を測定し、かつ血液脳関門(Blood Brain Barrier, BBB)との関連を調べてきた。特に今回は抗NR2抗体と抗U1RNP抗体との相加効果を検討した。CSF-抗NR2抗体陽性はCSF-IL-6上昇と相関したが、CSF-抗U1RNP抗体陽性はIL-6と直接的な関係はなかった。しかし両抗体が同時に存在する患者(DP)では抗NR2抗体単独陽性(aNR2)患者より、CSF-IL-6はさらに高濃度になっていた。この結果は、抗U1RNP抗体は抗NR2抗体の併存下においてのみ、IL-6の上昇に関与する可能性を示唆している。一方で、抗NR2抗体と異なりCSF-抗U1RNP抗体陽性はCSF-IL-8濃度と関係し、aNR2よりもDPでより高濃度となっていた。CSF-IL-6がCSF-抗NR2抗体と強く相関することから、IL-8がBBBの透過性を亢進させ抗NR2抗体の血清からCSFへの移行を誘導する可能性を考えた。実際、DPとaNR2とを比較した場合、BBBの透過性や抗NR2抗体価に統計学的な有意差は検出できなかったものの、DPで亢進するあるいは高値となる傾向があり、BBBの透過性とCSF-IL-8の間には明らかな相関関係があった。以上の結果からCSF-抗U1RNP抗体は、髄腔内でIL-8の産生を誘導しBBBの透過性を亢進させて抗NR2抗体の直接的な病原性(髄腔内でのIL-6上昇)を強めている可能性がある。上記内容につき、現在論文投稿準備中である。
2: おおむね順調に進展している
データはそろっており、その点では順調と言える。一方、内容は論文化しつつあるが、まだ投稿に至っていない点が足りない点である。
早急に論文化し、投稿する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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