研究課題/領域番号 |
16K09902
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
三村 俊英 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30260491)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / 成人スティル病 / ヒストン修飾 |
研究実績の概要 |
成人発症スティル病患者末梢血の網羅的エピゲノム解析;成人スティル病患者末梢血機能的亜集団のヒストン修飾をフローサイトメトリー法にて網羅的に解析する新規技術の開発を進めた。成人スティル病患者末梢血を採取し有核細胞に分離後、好中球、B細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、ガンマデルタT細胞、制御性T細胞(Treg)、単球( CD14++CD16-、CD14++CD16+およびCD14+CD16++)に表面マーカーを用いて分類し、これらの細胞のヒストンマーク(H3K4me3、H3K27me3)を細胞内染色によって網羅的に明らかにした。その結果、成人スティル病患者の末梢血有核細胞亜群のうち、CD14+CD16++細胞群において、H3K27me3およびH3K4me3の平均蛍光強度(MFI)が有意に高いことが明らかになった。この減少は、高疾患活動性患者と低疾患活動性患者(同一患者においての活動性の異なる時期のものを含む)において得られた結果では、高疾患活動性患者において明らかであった。また、成人スティル病と同様に自己炎症性疾患に属すると考えられるベーチェット病との比較を行った所、ベーチェット病においては、成人スティル病とは異なる末梢血有核細胞亜群においてヒストン修飾変化が認められ、今回の成人スティル病において示されたヒストン修飾異常が疾患特異的である可能をが高い事を示した(Y Aizaki, et al. American College of Rheumatology, Annual Meeting, 2016)。そこで、この細胞群を用いてトランスクリプトーム解析、エキソーム解析を進める。そのため、高疾患活動性成人スティル病患者末梢血から当該細胞群の収集を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述した様に、成人スティル病患者末梢血におけるヒストン修飾変化はCD14+CD16++細胞群において、H3K27me3およびH3K4me3の平均蛍光強度(MFI)が有意に高いことが明らかになったことから、この細胞群に焦点を絞ってトランスクリプトーム解析を行う事にした。ところが、疾患活動性の高い患者末梢血おいては、CD14+CD16++細胞群の頻度は極めて低いことが明らかになり、1患者からの細胞では解析に不十分であると考えられた。そのため、研究の次の段階への進行が予想よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
上述した様に細胞数が不足するため、複数患者末梢血からCD14+CD16++細胞群を収集してプールする事により細胞数を増やし、mRNAが十分量抽出出来る状態にして解析する予定である。現在3名の活動性患者から当該細胞群を集めてプールしている。もう1例集まればトランスクリプトーム解析に進める予定である。 対象健常人血液は既に収集出来ている。
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次年度使用額が生じた理由 |
疾患活動性の高い成人スティル病患者の単球を回収したが、細胞量が少なくトランスクリプトーム解析することができなかった。次年度も引き続き症例を集め、数症例分の細胞をまとめて回収しトランスクリプトーム解析をする予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
トランスクリプトーム解析は高額の為、次年度に繰り越して解析費用に充てる計画である。
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