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2017 年度 実施状況報告書

成人スティル病末梢血のエピゲノム異常の検討と病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K09902
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

三村 俊英  埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30260491)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードエピジェネティクス / 成人スティル病 / ヒストン修飾
研究実績の概要

成人スティル病患者末梢血を用いて各細胞分画のヒストン修飾変化を解析した。その結果、単球分画、好中球分画において健常人に比して、ヒストンメチル化の指標として転写亢進の有用なマーカーと推測されるH3K4met3/H3K27met3が亢進していることを明らかにした。一方、他の膠原病患者において同様な解析を行ったところ、成人スティル病患者末梢血好中球におけるH3K4met3/H3K27met3の亢進は明らかではなかった。さらに、成人スティル病患者のうち、活動性の高い患者と活動性の低い患者で比較したところでは、疾患活動性の亢進した患者における単球分画のみがH3K4met3/H3K27met3の亢進を有意に示した。以上のことから、成人スティル病におけるヒストン修飾変化の明らかで病態への関与の可能性が高い末梢血細胞群として単球分画に焦点を絞って解析を行った。この分画は、細胞数が少なく通常のChip-seqに必要な細胞数を集める事は不可能と考え、まず患者単球における遺伝子発現の変化を明らかとし、発現変化の強い遺伝子に絞ってヒストン修飾変化を詳細に解析することとした。そのため、患者末梢血単球分画を用いて、健常者との比較でtranscriptome解析を行った。その結果、興味深い遺伝子発現変化が明らかになった。発現亢進している上位20遺伝子および発現低下している20遺伝子を抽出し、これらの発現程度を再度quantitative RT-PCRにて解析し、その内特に変化の診られた10遺伝子を対象に現在Chip-assayを行っている。予備実験にては、特異的な変化を示す結果が得られている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

疾患特異性の観点から行ったフローサイトメーターを用いた解析にてヒストン修飾変化の強い末梢血亜分画が、細胞数の極めて少ない単球分画であり、特に成人スティル病患者においては、この分各の細胞数が少なく、プールサンプルの作成が必要となったこと、および疾患活動性の高い患者がこの年度に少なかったことが大きな理由である。

今後の研究の推進方策

1. 対象患者の当科への受診を促す試みを行う。当科において強い連携関係にある当該医療圏の医療施設に呼びかけて患者の紹介を進める。
2. トランスプリプトーム解析の結果を有効利用し、ネットワーク解析などを駆使してより病的可能性の高い遺伝子を推定し、Chip-assayの省エネによりその遺伝子における転写制御領域の解明に努める。
3. ATAQ-seqなど新規実験方法を修得して、新たな解析を行う。
などが考えられる。まずは、1と2を行い、これらが不十分な場合には3を行うが、これには余分な時間を必要とすることになる。

次年度使用額が生じた理由

(理由)初年度、疾患活動性の高い成人スティル病患者の単球を回収したが、細胞量が少なくトランスクリプトーム解析することができなかった。本年度にさらに症例を集め、数症例分の細胞をまとめて回収しトランスクリプトーム解析を行った。しかしながら、年度末の解析となった為、解析費用の請求が次年度になってしまった。


(使用計画)トランスクリプトーム解析で明らかになった発現変動遺伝子において、ヒストンメチル化との関連を解析するため、クロマチン免疫沈降を行う予定である。クロマチン免疫沈降に使用する抗体は高価の為、次年度の繰り越しで解析費用に充てる計画である。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 図書 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Detection of synovial inflammation in rheumatic diseases using superb microvascular imaging: Comparison with conventional power Doppler imaging2018

    • 著者名/発表者名
      Yokota K, Wada T, Akiyama Y, Mimura T
    • 雑誌名

      Mod Rheumatol

      巻: 28 ページ: 327-333

    • DOI

      10.1080/14397595.2017.1337288

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The correlation of urinary podocytes and podocalyxin with histological features of lupus nephritis.2018

    • 著者名/発表者名
      Ikuma D, Hiromura K, Kajiyama H, Suwa J, Ikeuchi H, Sakairi T, Kaneko Y, Maeshima A, Kurosawa H, Hirayama Y, Yokota K, Araki Y, Sato K, Asanuma YF, Akiyama Y, Hara M, Nojima Y, Mimura T
    • 雑誌名

      Lupus

      巻: 27 ページ: 484-493

    • DOI

      10.1177/0961203317734918

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evidence-based clinical practice guideline of adult Still's disease2018

    • 著者名/発表者名
      Mimura T, Kondo Y, et al.
    • 雑誌名

      Mod Rheumatol, in press

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1080/14397595.2018.1465633

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Matrix Metalloproteinase Gene Activation Resulting from Disordred Epigenetic Mechanisms in Rheumatoid Arthritis2017

    • 著者名/発表者名
      Araki Y, Mimura T
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.3390/ijms18050905

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Histone lysine methylation and STAT3 differentially regulate constitutive and IL-6-induced MMP gene activation in rheumatoid arthritis synovial fibroblasts2017

    • 著者名/発表者名
      Araki Y, Mimura T
    • 学会等名
      Keystone symposia
    • 国際学会
  • [学会発表] A novel hierarchical relationship between interleukin-17A and interferon-alpha is indicated by analysis of multiple cytokines in the serum of Adult-Onset Still’s disease and Behçet’s disease2017

    • 著者名/発表者名
      K.Sato, Y.Aizaki, Y.Araki, T.Mimura
    • 学会等名
      EULAR 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] 関節リウマチ滑膜線維芽細胞におけるヒストンH3リシン4メチル基転移酵素によるケモカイン遺伝子転写制御2017

    • 著者名/発表者名
      荒木靖人, 相崎良美,横田和浩,梶山浩,舟久保ゆう,佐藤浩二郎,織田弘美,三村俊英
    • 学会等名
      第61回日本リウマチ学会総会・学術集会
  • [学会発表] ベーチェット病患者γδT細胞におけるヒストンメチル化の解析2017

    • 著者名/発表者名
      相崎良美,荒木靖人,佐藤浩二郎,横田和浩,三村俊英
    • 学会等名
      第61回日本リウマチ学会総会・学術集会
  • [図書] 内科学(第11版) 【机上版】2017

    • 著者名/発表者名
      矢﨑義雄、三村俊英
    • 総ページ数
      2534
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      978-4-254-32270-5
  • [図書] 1336専門家による私の治療 2017-18年度版2017

    • 著者名/発表者名
      猿田享男、北村惣一郎、三村俊英
    • 総ページ数
      1776
    • 出版者
      日本医事新報社
    • ISBN
      978-4-7849-4650-1
  • [図書] 臨床雑誌内科<月刊> 119巻2号2017

    • 著者名/発表者名
      三村俊英
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] 分子リウマチ治療 10巻1号2017

    • 著者名/発表者名
      三村俊英
    • 総ページ数
      60
    • 出版者
      先端医学社
  • [図書] 成人スチル病診療ガイドライン2017年版2017

    • 著者名/発表者名
      三村俊英
    • 総ページ数
      100
    • 出版者
      診断と治療社
  • [備考] 埼玉医科大学リウマチ膠原病科 業績

    • URL

      http://www.saitama-med.ac.jp/uinfo/riumachi/gyoseki2N.html

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公開日: 2018-12-17  

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