研究実績の概要 |
難治性自己免疫疾患の真の克服には、自己免疫病態の解明が必要不可欠である。自己に対する免疫応答の制御機構である免疫寛容(トレランス)として、胸腺での負の選択の他に、末梢免疫組織における制御性T細胞による免疫抑制、無視、欠失、不応答性がこれまでに概念的に知られているが、実際のヒト自己免疫疾患患者においてどの程度破綻し、治療により回復しうるものかについては未だ不明である。トレランス機構の解明は自己免疫において本質的に重要な課題である。本研究では、新たに定義された制御性T細胞および新規トレランス関連T細胞サブセットに焦点を絞ってすすめ、ヒト自己免疫疾患における末梢トレランス評価系の確立ならびにその制御機構に関する鍵となる重要な方向性を見いだすことを目的として研究を遂行した。初年度は、ヒト自己免疫疾患におけるCD15s陽性制御性T細胞(Treg)の量的質的異常の有無の検討を行った。各種自己免疫疾患患者(RA, SS, 等)および健常人の末梢血全血を用いる。CD3、CD4、CD25、CD45RA, CD15s, CD127に対する標識抗体で細胞外染色、抗FOXP3 (eBioscience)抗体で細胞内染色し、フローサイトメーター (FACS Verse, BD Bioscience)にて、マルチカラー解析を行った。リンパ球中あるいはT細胞中のCD15s+FOXP3+CD25highCD127lowCD4+T細胞の割合を測定した。また同時に採取した末梢血の白血球数および分画の値からTregの絶対数を算出した更に活動性画分等の詳細解析を行った。その結果本分画の差は明確ではなかった。今後、症例数をさらに増加して検討を行っていくとともに質的な異常についても解析を続けていく。
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