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2018 年度 実施状況報告書

脊椎関節炎患者の臨床学的・免疫学的特徴解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K09906
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

金子 祐子  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60317112)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード脊椎関節炎 / HLA
研究実績の概要

脊椎関節炎は,全身性の腱付着部炎と二次性関節滑膜炎を主徴とする全身性自己炎症性疾患である.疾患感受性遺伝子としてHLA B27が全世界的に知られているが,日本人では保有率が低く、脊椎関節炎有病率も<0.01%と考えられてきた.まず本研究では隠れ脊椎関節炎有病率と診断補助検査の同定を行った.当院消化器内科および皮膚科に通院中の炎症性腸疾患および尋常性乾癬患者を対象として,末梢関節痛と炎症性腰背部痛について独自アンケートを行った.脊椎関節炎と診断または疑われている患者を除外後,275名 (炎症性腸疾患161名、乾癬114名)のアンケートを収集した.炎症性腰背部痛は106名(33.7%)で疑われ,うち50(47%)は ASAS expert criteriaで定義された炎症性背部痛を3ヶ月以上自覚していた.5名はリウマチ・膠原病内科で体軸型脊椎関節炎の新規診断となり,炎症性腸疾患と乾癬患者を母集団とした場合、隠れ脊椎関節炎の有病率は1.8%、疑い例は18.0%程度の可能性が示された。体軸型脊椎関節炎と診断された患者とされていない患者の比較では,背部痛による夜間覚醒頻度が有意に高く(80% vs 14%, P<0.01),スクリーニングとして有用性が高いと考えられた.HLA検査を行った18名のうち、3名はHLA-B27要請でNY criteriaのgrade4で進行していたが、B27陰性例ではgrade1またgrade 2が13名(72%)を占めた.さらに検討の結果B61がnon-radiographic SpAで22.8%、HLA研究所公開データベース24.4%と比して、radiographic SpAで41.6%と有意に高く、日本人におけるを比較すると、B61が日本人におけるマーカーとなりうる可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

多科にまたがる疾患であり倫理委員会承認時間がかかったため開始が遅れたこと,および患者来院間隔などから、研究初期に想定よりも時間を要した.またASAS による診断基準では,日本では保険適応のないHLA-B27やMRI所見が含められていることから,患者同意やMRI予約等に時間がかかり,確定診断までに時間を要することも一因であった.これらは研究としても改善すべき点である反面,日本の実臨床において診断遅延の原因となっている可能性があるため,情報を詳細に収集する予定である.

今後の研究の推進方策

患者集積をさらに継続し,脊椎関節炎および脊椎関節炎疑い患者コホートから末梢血リンパ球サブセット解析や早期診断に有用なバイオマーカー探索も行う予定である.また,整形外科で機械的腰背部痛とされている患者の中にも脊椎関節炎が隠れている可能性が高いことから,アンケート対象を拡大することを検討中である.現在アンケート質問事項は,NY criteria,Berlin criteria,ASAS criteriaにおける炎症性腰背部痛の定義を網羅する形で構成されているが,これまでの検討の中で夜間覚醒する背部痛の特異度が高いことが想定されており,簡便かつ高感度高特異度の質問票作成を行う.

次年度使用額が生じた理由

初期に進捗遅れが認められたことに伴って、前年度から繰り越し分があったことから、その一部が次年度に繰越となった。次年度には患者登録および研究進捗促進が見込まれるため、次年度での分析・解析に使用予定。

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公開日: 2019-12-27  

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