関節リウマチ(RA)の発症・病態形成において炎症性サイトカインは関与し、これらを標的とする生物学的製剤の登場によりRA治療はパラダイムシフトを遂げた。また基礎実験では制御性T細胞の病態形成の関与も報告されている。しかし現在の治療法では抵抗性を示す症例も存在し、新たな作用機序をもつ治療薬の登場は必要である。今回の実験では、我々の基礎実験で炎症性サイトカイン産生抑制及び制御性T細胞の発現亢進効果を示している抗Tim-1抗体(RMT1-10)を関節炎モデルマウスへ投与し、どのような免疫応答を介して関節炎発症・病態形成へ影響するか検討した。 平成30年度は関節炎モデルマウス(Collagen Induced Arthritis; CIA mice)を用いた実験を行った。関節炎発症モデルを確立し、炎症程度も安定していることから投与実験を繰り返し施行することが可能となった。投与実験においてRMT1-10投与群ではコントロール群に比べて関節炎スコア改善の再現性が確認された。血清TNF、IL-6抑制効果も認めており、RMT1-10は炎症性サイトカイン伝達経路に影響することが確認された。 今後において炎症性滑膜部位における炎症性サイトカインmRNA発現、FACS法における脾細胞 CD4+ T細胞内IL-6・TNF染色を施行し、リンパ球サブセットやマクロファージにおける影響や、pSTAT4/6発現をWestern Blot法で細胞内伝達経路について検討する。
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