研究課題
膠原病疾患の病態には好中球が深く関与しているが、患者末梢血から好中球を分離して研究することは、細胞量の点で限界がある。また、多くの膠原病患者がステロイド剤などの薬剤投与を受けているため、患者末梢好中球の解析が病態を反映しているか疑問である。これらの問題点を克服する手段として、患者末梢血からiPS細胞を樹立し、目的とする細胞(好中球)へ分化させて解析を行う。好中球は寿命が短く解析が難しい細胞であるが、iPS細胞より誘導した好中球は比較的寿命が長いため、解析が行いやすいと期待される。近年、膠原病患者の末梢好中球が排出するNETsが、病態に深く関わっていることが報告された。今年度は、膠原病患者末梢血からiPS細胞を樹立するとともに、NETsの病態における役割を検討するため、NETsの簡便な確認方法の確立とその定量化を検討した。結果1)RA患者1例、成人発症スティル病患者1例についてiPS細胞を樹立した。2)健常者iPS細胞の好中球への分化の条件決めを行った。3)RA患者からネガティブセレクションで好中球を分離、98%以上の純度で分離可能であった。4)健常者iPS細胞由来好中球をPMA刺激後、ヘキスト染色でNETsを検出した。
3: やや遅れている
NETsは誘導できているが、好中球が同時にアポトーシスを生じている。生体内でNETsを生じる条件決めをもう少し厳密に詰める必要があり、少し計画から遅れている。
NETs産生の条件決め(PMAの濃度や他の刺激)と検出方法、定量化のためのエラスターゼを標的としたアッセイ系を構築する必要がある。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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