研究課題
関節リウマチ (RA) 患者の関節液にて14-3-3ηが検出され、単球等の細胞に作用して炎症サイトカインが産生され炎症惹起をもたらす。しかし、何故本来細胞内に局在する14-3-3ηが細胞外で検出されるのか不明であった。前年度までにマクロファージ(MΦ) 細胞内に14-3-3ηとPAD4の共局在を検出している。透過型電子顕微鏡で観察すると、健常人由来MΦを酸化ストレス誘導物質で刺激すると細胞膜破壊、オルガネラ膨張を齎す。TNF-αで刺激しても同様の細胞形態を示した。しかし、14-3-3ηを発現する線維芽細胞様滑膜細胞をTNF-αで刺激しても形態に何ら変化を齎さなかった。ウェスタンブロッティング (WB) 法により、TNF-αで刺激されたMΦは細胞内MLKLタンパク質のリン酸化を示した。上記細胞形態とMLKLリン酸化はネクロプトーシス細胞死の特徴を備えている。WB法により、健常人由来MΦがTNF-α刺激を受けないならば、培養上清に14-3-3ηが検出されないのに対し、TNF-αで刺激すると14-3-3ηは検出された。しかしながら、IL-1βおよびIL-6/可溶性IL-6受容体で刺激しても検出されなかった。TNF-α特異的ネクロプトーシスにより14-3-3ηが細胞外に放出される機構が明らかにされた。MΦ細胞内に14-3-3ηとPAD4の共局在することを考慮すると、細胞外で検出される14-3-3ηはシトルリン化修飾を受けている可能性がある。以上の結果はRA患者の関節液で何故14-3-3ηが検出されるのか、重要なメカニズムを示唆する。
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