研究課題
マトリセルラータンパク質であるペリオスチンのインテグリンを介した組織構築細胞の活性化は,アレルギー性炎症の遷延化に重要な役割を担っている。しかしながら,ペリオスチンによる免疫系細胞の活性化とアレルギー性炎症との係りについては未だに不明な点が多い。本研究では,線維芽細胞が産生するペリオスチンが,細胞外マトリクスとして作用し,アレルギー反応のエフェクター細胞であるマスト細胞の活性化に与える影響を解析した。初年度は,1)ペリオスチンを固相化した培養プレート上にマスト細胞を接着させることでIgE受容体を介したマスト細胞の脱顆粒反応が増強されること,2)増強には2価イオンとしてマグネシウムイオンを要求することを明らかにしてきた,次年度に,サイトカイン産生およびLTC4産生におけるペリオスチンの作用について解析を行った結果,ペリオスチンとの接着はLTC4産生を増強させたが,IL-6およびIL-13産生については増強作用を認めなかった。すなわち,ペリオスチンは,抗原刺激後にマスト細胞から即時的に産生される炎症性メディエーターの産生を増強に作用することが明らかになった。本年度は,マスト細胞活性化増強におけるαVインテグリンの機能解析とペリオスチン欠損マウスにおけるIgEを介したPCA反応を評価した。ペリオスチンとマスト細胞との接着および活性化増強はαVインテグリン阻害剤の存在下で阻害されなかった。またペリオスチン欠損マウスにおけるPCA反応の低下も認められなかった。これらの結果から,マスト細胞とペリオスチンの接着はαVインテグリンを介さないこと,生体内で定常的に存在するペリオスチンではマスト細胞の活性化には影響を及ぼさないことが明らかとなった。
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The Journal of investigative dermatology
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.jid.2018.10.047
Allergy
巻: 73 ページ: 1881-1891
10.1111/all.13437