研究実績の概要 |
1)名大病院で検出されたカルバペネム耐性Enterobacter cloacae complex(CRECC)39株(うち20株はカルバペネマーゼ産生:CPECC)の解析では、CPECCは全てIMP-1産生であり、genetic cluster III: ST78, xiii: ST113, E. cloacae subsp. cloacae: ST513, E. asburiae: ST53に分類された。これらCPECC株はnon-CPの株と比べ、水平伝播しやすい傾向があった。代表的な7株のプラスミドの全ゲノム解析では、7株中6株のプラスミドは相同性が高く、IncHI2A replicon typeをもち、IMP-1カセットを含むclass Iインテグロン構造を持っていた。 2)臨床背景の比較では、CPECCの方がnon-CP CRECCと比べ、入院期間が長く(26.5 days vs 12 days, p=0.0076)、尿道カテーテル留置例が多く(60.0% vs 21.1%, p=0.0225)、挿管例が多かった(60.0% vs 15.8%, p=0.0079)。結果については現在投稿中である。 3)2015年度から2017年度までに地域連携で収集されたCPE株は、年度別にそれぞれ13, 12, 21株で、腸内細菌科細菌中の割合は、0.13%、0.11%、0.18%であった。カルバペネマーゼ遺伝子は、IMP-1が46株中43株、IMP-6が2株、NDM-5が1株検出された。 4)MLST法による解析では、E. cloacaeのCPEは6つのSTがあり、ST78が12株(66.7%)と最も多く、一方K. pneumoniaeのCPEは8つのSTがあり、ST37が5株(26.3%)で最も多かった。同一施設内では水平伝播は見られたが、施設を超えての伝播はまれであった。
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