研究課題
本研究は、好中球機能におけるオートファジーの役割を明らかにするとともに、オートファジー機構を介して好中球機能を制御することにより、抗菌薬による治療が奏功しない易感染性患者の多剤耐性菌感染症に対する新規治療法の開発に繋げることを目的としている。研究開始の初年度は、好中球のオートファジーが貪食刺激によって誘導される機序の解明と、オートファジーの制御による好中球機能の活用が有効と予想される感染症の起炎菌を明らかにするため、被検菌の検討から実験を進めた。グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母様真菌、糸状菌といった菌種別、また生菌および死菌とその貪食菌量によるオートファジー誘導の有無や程度の比較検討を行っているが、現時点においては実験結果がまだ少なく、評価できていない。また、好中球のオートファジーを制御する薬剤等の用法・用量、および培養条件等の検討についても、治療応用に繋げることを目的とするヒト末梢血好中球を用いた実験系では、現時点においてはオートファジーを特異的に制御する方法を確立するに至っていない。既知のオートファジー促進剤などは培養細胞を用いた実験系で有効であっても、末梢血から分離し短寿命である好中球を用いた実験系で効果的な作用条件を見出すことは難しいと考えられる。今後、さらに上記の検討を継続しつつ、好中球のオートファジー誘導機序の解明に繋がる実験も展開し、その知見に基づいた好中球のオートファジーの制御手法を探索していく予定である。
4: 遅れている
研究代表者は、研究開始初年度となる平成28年度に現所属機関に異動したため、所属機関における倫理委員会への申請や研究室の立ち上げ等に時間を要したため、研究の進捗は当初の計画よりも遅れている。
平成28年度に着手した「被検菌種の違いによる好中球のオートファジー誘導の比較」および「好中球のオートファジーを制御する薬剤等の用法・用量、および培養条件等の確立」を継続しつつ、好中球機能におけるオートファジーの役割やオートファジー誘導機序の解明に繋がる実験を進めていく予定である。
研究代表者は、平成28年度に現所属機関に異動したため、所属機関における倫理委員会への申請や研究室の立ち上げ等に時間を要したため、当該年度に予定していた実験を次年度に持ち越すこととなった。
次年度は、今年度予定していた課題「被検菌種の違いによる好中球のオートファジー誘導の比較」および「好中球のオートファジーを制御する薬剤等の用法・用量、および培養条件等の確立」を継続しつつ、さらに好中球機能におけるオートファジーの役割やオートファジー誘導機序の解明に繋がる実験を開始することにより、特に物品費が増えることが予想されるため、次年度使用額として使用する予定である。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
Journal of Leukocyte Biology
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