研究課題
感染症は多種多様な病原体によって引き起こされるが、流行が発生した場合、その拡大を最小限に抑えるためには病原体を迅速に同定し、それに即した対策を実施することが肝要である。臨床検体のメタゲノム解析による網羅的病原体検出法「メタゲノミック診断法」は、次世代シークエンスの簡易化や普及と共に多くの機関で行われるようになった。しかし、未だそのデータ解析から検出までの発見プロセスは、多くのノウハウや計算機資源等の障壁が存在する。本研究では、メタゲノミック診断の個別化すなわち各医療機関で実現可能な網羅的な病原体検出用の解析プラットフォームの開発を目指す。研究期間内に、この解析システムの並列化を行い、小規模な医療機関でも入手可能な計算機資源を利用した臨床検体のメタゲノム解析を実現する。平成28年度においては各種の分散基盤技術を比較し、分散並行処理の基盤技術であるApach Sparkを用いて小規模グリッドコンピューティングの基盤システムを構築した。自作の小型ベアボーンを4台作成し、それらを繋いだローカルネットワーク上の分散計算で、計算処理能力の線形性を確認した。相同性検索で広く使用されているBLASTを用いて線形性を確認したところ、理論直線に近い良好な結果を得た。今後は他の分散並行処理システムと比べて、本研究課題で作成したシステムの性能評価を行っていく。またBLASTとは異なる相同性検索プログラムも使用可能かどうか、適用するソフトウェアの探索を広げる。
2: おおむね順調に進展している
分散並行処理の基盤技術であるApach Sparkを用いて小規模グリッドコンピューティングの基盤システムを構築した。自作の小型ベアボーンを4台作成し、それらを繋いだローカルネットワーク上の分散計算で、計算処理能力の線形性を確認した。相同性検索で広く使用されているBLASTを用いて線形性を確認したところ、理論直線に近い良好な結果を得た。
分散並行処理の基盤技術であるApach Sparkを用いて理論直線に近い線形性能を確認したので、今後は他の分散並行処理システムと比べて、本研究課題で作成したシステムの性能評価を行っていきたい。またBLASTとは異なる相同性検索プログラムも使用可能かどうか、適用するソフトウェアの探索を広げる。
当初計画よりも必要物品が少なかったので、2年目以降に研究推進を図るため。
シークエンスデータを生み出すために実験機器、シーケンサーに使用する予定。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件) 図書 (2件)
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