研究課題
感染症は多種多様な病原体によって引き起こされるが、流行が発生した場合、その拡大を最小限に抑えるためには病原体を迅速に同定し、それに即した対策を実施することが肝要である。臨床検体のメタゲノム解析による網羅的病原体検出法「メタゲノミック診断法」は、次世代シークエンスの簡易化や普及と共に多くの機関で行われるようになった。しかし、未だそのデータ解析から検出までの発見プロセスは、多くのノウハウや計算機資源等の障壁が存在する。本研究では、メタゲノミック診断の個別化すなわち各医療機関で実現可能な網羅的な病原体検出用の解析プラットフォームの開発を目指す。研究期間内に、この解析システムの並列化を行い、小規模な医療機関でも入手可能な計算機資源を利用した臨床検体のメタゲノム解析を実現する。本研究開発によって確立した解析プラットフォームを病原体検出や腸内細菌叢の解析等の実際の研究への応用を進めた。小児医療における感染症例への応用に関しては、生後2ヶ月の乳児の尿路感染症例に対して、メタゲノムデータを解析した結果、Prevotella melaninogenica他、嫌気性細菌の混合感染であることが明らかになった。また小児の重傷呼吸器不全例からWUポリオーマウイルスを検出した。これらはいずれも従来法では検出が困難であった例であり、メタゲノム解析によって小児感染症の新たな病態を明らかにすることができた。近年、注目を集めている腸内細菌叢の解析にも応用し、高塩濃度や心不全時における腸内細菌叢の乱れの解析へ実際に適用を行った。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件)
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