研究課題/領域番号 |
16K09934
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 淳 大阪大学, 微生物病研究所, 特任講師(常勤) (20321953)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | チクングニアウイルス |
研究実績の概要 |
ノックアウト細胞ライブラリーを用いて行ったゲノムワイドスクリーニングでGAG鎖合成関連遺伝子以外のチクングニアウイルス(CHIKV)感染関連遺伝子の同定を試みた結果、CHIKV感染への関与が疑われるいくつかの膜蛋白質遺伝子の候補を得ることができた。そのうちの膜蛋白質遺伝子の一つをGAG鎖合成欠損細胞株に導入し、CHIKV感染における効果を検討したところ、当該膜蛋白質遺伝子導入GAG鎖合成欠損細胞株において当研究室のCHIKV#16856Thai strainでの有意な感染の更新が観察された。またこの当該膜蛋白質遺伝子のノックアウト細胞を作製し、CHIKVの感染性を検討したところCHIKV #16856Thai strainではCCID50及びプラック形成等において感染性の低下が観察されたが、CHIKV Ross strainの感染性には影響しなかった。また牛水疱性口内炎ウイルス(VSV)やマウス白血病ウイルス(MuLV)といった別種のウイルスの外皮膜にCHIKV膜蛋白質を発現した組み換えシュードタイプウイルスベクターを用いた感染試験では、CHIKV感受性細胞株と当該細胞性因子のノックアウト細胞との間でこれらシュードタイプウイルスの感染性に差がみられなかった。本研究で作製した増殖欠損型CHIKV発現プラスミドを当該膜蛋白質遺伝子ノックアウト細胞に導入し、CHIKVサブゲノミックプロモーターで発現されるGFPまたはルシフェラーゼの発現量を検討したところこれらの発現量の低下が観察され、当該膜蛋白質がCHIKV感染細胞でのウイルス増殖に関与している可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CHIKV感染関連細胞性因子として膜蛋白質の1つを新規CHIKV感染関連細胞性因子として同定はできたが、この膜蛋白質がCHIKVの特異的受容体として働いているのかウイルスの細胞内増殖に関わる宿主因子であるのか未だ確証が得られず、この新規細胞性因子がCHIKV感染増殖にどのように関与しているのかを明らかにする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で同定できた新規CHIKV感染関連細胞性因子がCHIKVの特異的受容体として、宿主細胞への感染の初期段階に関与しているのか、またはウイルス感染成立後のウイルスの細胞内増殖に関与しているのかを、本研究で作製した増殖欠損型CHIKV発現プラスミドと増殖欠損型CHIKVベクター、またこの新規CHIKV感染関連細胞性因子に対する抗体等を用いて検討していく。また当該細胞性因子と結合するウイルス蛋白質の結合領域、及びウイルス膜蛋白質と結合する当該細胞性因子の結合領域について免疫沈降、近接ライゲーションアッセイ等を用いた検討を行う。新規CHIKV感染関連細胞性因子の構造を元にした、合成ペプチド等の作出とその効果の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
繰り越した助成金は抗体等の試薬購入代金、論文投稿料に使用する予定です。
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