研究課題
ノックアウト細胞ライブラリーを用いて行ったゲノムワイドスクリーニングでグリコサミノグリカン(GAG)鎖合成関連遺伝子以外のチクングニアウイルス(CHIKV)感染関連遺伝子の同定を試みた結果、CHIKV感染への関与が疑われるいくつかの膜蛋白質遺伝子の候補を得ることができた。そのうちの膜蛋白質遺伝子の一つをGAG鎖合成欠損細胞株に導入し、CHIKV感染における効果を検討したところ、当該膜蛋白質遺伝子導入GAG鎖合成欠損細胞株において当研究室のにあるCHIKV Thai#16856 strainでの有意な感染の更新が観察された。またこの当該膜蛋白質遺伝子のノックアウト細胞を作製し、CHIKVの感染性を検討したところCHIKV Thai#16856 strainではCCID50及びプラック形成等において感染性の低下が観察されたが、CHIKV Ross strainの感染性には影響しなかった。また牛水疱性口内炎ウイルス(VSV)やマウス白血病ウイルス(MuLV)といった別種のウイルスの外皮膜にCHIKV膜蛋白質を発現した組み換えシュードタイプウイルスベクターを用いた感染試験では、CHIKV感受性細胞株と当該細胞性因子のノックアウト細胞との間でこれらシュードタイプウイルスの感染性に差がみられなかった。本研究で作製した増殖欠損型CHIKV発現プラスミドを当該膜蛋白質遺伝子ノックアウト細胞に導入し、CHIKVサブゲノミックプロモーターで発現されるGFPまたはルシフェラーゼの発現量を検討したところこれらの発現量の低下が観察され、当該膜蛋白質がCHIKV感染細胞でのウイルス増殖に関与している可能性も示唆された。
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Virus Research
巻: 272 ページ: -
doi: 10.1016/j.virusres.2019.197732