研究課題/領域番号 |
16K09935
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
末盛 浩一郎 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80571083)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | SFTS / 異型リンパ球 / ファビピラビル |
研究実績の概要 |
重症熱性血小板減少症候群に対するファビピラビルの有効性と安全性の検討を行った。西日本を中心とした医療機関において15例が登録され、SFTSウイルス陽性症例は12例であった(SFTSウイルス陽性症例:56歳~81歳(中央値 66.5歳)、男性9人、女性3人)。ファビピラビルを初日1800 mg、2日目以降800 mgを5~14日投与した。登録されたうち3例は、ダニ刺痕を認め、臨床症状ならびに検査成績はSFTSに類似していたが、SFTSウイルスゲノム検査は陰性であった。SFTSV陽性12例中2例は治療6日目に原疾患の増悪のため死亡した。SFTSウイルス陽性12例の検討から以下のことが明らかとなった。ファビピラビル治療開始時の血中SFTSウイルス量と予後の相関は認められなかった。回復例では治療開始後に血中ウイルス量の速やかな減少をみとめ、14日目以降は消失していた。治療開始後の血小板の増加が予後の指標となる可能性が示唆された。ファビピラビルによる重篤な有害事象はみとめなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我が国におけるSFTS患者の発生状況を西日本の診療施設の代表として取りまとめており、その病態解明と治療法の開発を積極的に行うことが出来た。本年度は特に、ファビピラビルによるSFTSの新規治療法開発を実施することが出来た。今後の研究に必要な検体採取および他施設との連携はとれており、現時点で研究継続に支障はきたしていない。
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今後の研究の推進方策 |
さらに西日本を中心としたSFTS診療機関との連携を継続し、症例の蓄積を図る。当初の目的である異形リンパ球の免疫学的解析の症例数をさらに増やし、血中サイトカインの推移と臨床像との関連を明らかにする。さらに、ファビピラビルによるSFTSの新規治療法開発も継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 今年度も昨年以上に愛媛県での発症数が予想以上に少なかったので、解析対象症例が十分に確保できず、研究費を次年度に繰り越すことにした。 (使用計画) 対策として愛媛県内のSFTS関連病院との連携を更に強化および対象症例を県外にも拡大し、連携の強化に努めている。そのため、繰り返し研究費が必要となる。
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