研究実績の概要 |
【研究の目的】診断が難しいムーコル症の早期診断法を開発する 【背景】ムーコル症は、主に血液疾患患者に発症する深在性真菌症である。真菌の培養率は低く、さらに患者は免疫抑制状態であるために十分な検査ができないことも多い。そこで我々は、ムーコル症を血清診断にて早期に診断する方法の開発を行った。 【方法】ムーコル症の原因真菌(Rhizopus oryzae)からシグナルシークエンストラップ法を用いて、候補抗原のスクリーニングを行った。シグナルシークエンスとは、細胞膜や細胞外に分泌される蛋白に共通する遺伝子配列である。我々は、最も多くクローンが得られた未知の抗原A(23kDa)に着目し、抗原Aを検出するELISAキットを作成して、その評価を行った。 【結果】ELISAの測定条件の最適化後、動物実験モデルにて検証を行った。その結果、Rhizopus oryzae感染マウス血清中の抗原Aの抗原価は、非感染マウスに比較して高く、ムーコル症の血清診断が実施できる可能性が示唆された。 本結果は、科学雑誌Medical Mycologyに掲載された(Sato K, Oinuma K, Niki M, Yamagoe S, Miyazaki Y, Asai K, Yamada K, Kazuto Hirata, Kaneko Y and Kakeya H. Identification of a Novel Rhizopus-specific Antigen by Screening with a Signal Sequence Trap and Evaluation as a Possible Diagnostic Marker of Mucormycosis. Med Mycol, 2017)。また、本方法に関する特許出願を行った。
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