研究課題/領域番号 |
16K09940
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
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研究分担者 |
遠藤 史郎 東北大学, 大学病院, 非常勤講師 (40614491)
笠原 敬 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50405403)
中野 竜一 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80433712)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カルバペネム耐性大腸菌 / IMP-6 / IncN |
研究実績の概要 |
本邦全域からカルバペネム耐性大腸菌を129株、カルバペネム耐性肺炎桿菌を127株収集した。このうち本年度は、カルバペネム耐性大腸菌について解析を開始している。 薬剤感受性(MIC)はCLSI法に基づき寒天平板法にて測定した。耐性遺伝子の検出と型別はPCRとDNAシークエンシングによって行った。カルバペネマーゼの産生性についてはCIM法により確認した。プラスミドの特性について、接合伝達実験と不和合性の型別を行った。MLSTによるゲノム型別を行った。 CIM法の結果、129株中116株が陽性となった。この116株はいずれもIMP型を保有しており、110株がIMP-6を、3株がIMP-1を、2株がIMP-63を、1株がIMP-11を保有していた。IMP-6産生株110株に対する各種抗菌薬の耐性率はMEPM (22.7%, 25株), IPM (0.9%, 1株), LVFX (95.5%, 105株), AMK (4.5%, 5株)であった。IMP-6産生株110株中104株はIncNを保有しており、伝達頻度は4.5 × 10-4 から1.1 × 10-3であった。IMP-6産生株110株のうち84株がST131と判定された。 今回、116株のカルバペネマーゼ産生大腸菌を分離したが、いずれもIMP型であった。また、これらの大腸菌は多くがMEPM, IPMに対し感性であったが、いずれもCIM陽性であった。これらの株のほとんどがIncNを保有しており、伝達頻度も高い特徴を示した。また、IMP-6産生株は多くが世界的流行クローンST131と判定されたことから、今後の動向について継続的な解析が必要である。さらに、すでに収集しているカルバペネム耐性肺炎桿菌についても解析をすすめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収集すべき菌株数は順調に増えており、今後もさらに株収集がすすむと予想される。また、カルバペネム耐性大腸菌の解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、継続してカルバペネム耐性大腸菌とルバペネム耐性肺炎桿菌を収集していく。カルバペネム耐性肺炎桿菌の解析も大腸菌と平行して進めていく。現在、一般病院検査室で可能なIMP-6検出法の確立についてはすでに取り組んでいる。来年度はさらに、培養細胞を用いた菌株の接着性、組織侵入性、病原性の評価を実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、大腸菌の解析を主に行ってきたが、肺炎桿菌については、感受性試験、接合伝達試験、耐性遺伝子検索、不和合性群の決定がこれからであり、その分の額が残っている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はカルバペネム耐性肺炎桿菌についても大腸菌と平行して実施予定である。
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