研究課題
近年カルバペネマーゼ産生腸内細菌科の拡散が世界的に問題となっている。本邦で検出されるカルバペネマーゼの多くはIMP型であり、西日本ではIMP-6産生大腸菌の分離例が多く報告されている。本年度は、本邦で分離されたカルバペネマーゼ産生肺炎桿菌について分子遺伝学的解析を行った。全国の医療機関より分離された肺炎桿菌のうち、CIM法にて陽性を示した87株を対象とした。カルバペネマーゼとCTX-M型β-ラクタマーゼについて、PCRとDNAシークエンシングにより型別した。薬剤感受性(MIC)はCLSI法に基づき測定した。プラスミドの特性について、接合伝達実験と不和合性の型別を行った。さらに、病原遺伝子についても検索した。遺伝子解析の結果、全ての株がIMP-6を保有していることが判った。その多くがCTX-M-2も保有しており(73株)、その他にCTX-M-15(1株)、CTX-M-35(2株)、CTX-M-65(1株)を保有する株も検出された。また、CTX-M型β-ラクタマーゼを保有しない株も検出された(10株)。IPMとMEPMの耐性率はそれぞれ0%, 21%であった。接合伝達実験では多くが伝達可能であり、伝達頻度は10-6~10-3であった。不和合性の型別はそのほとんどがIncNを保有していた。さらに、何らかの病原遺伝子を35株が保有していた。今回我々が解析したカルバペネマーゼ産生肺炎桿菌は全てIMP-6を保有していた。また、そのほとんどがCTX-M-2も保有していたが、CTX-M-15保有株なども検出された。大腸菌と同様、耐性遺伝子の多様化が進んでいると考えられた。さらに、カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌の約3分の1が病原性の高い肺炎桿菌であり、今後、高病原性かつ耐性肺炎桿菌による難治例の増加が懸念される。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 10件、 招待講演 5件)
Jpn J Infect Dis
巻: 72 ページ: 68-70
10.7883/yoken.JJID.2018.297
Heliyon
巻: 5 ページ: e01291
10.1016/j.heliyon.2019.e01291
Antimicrob Agents Chemother
巻: in press ページ: in press
10.1128/AAC.02633-18
PLoS ONE
巻: 13 ページ: e0202276
10.1371/journal.pone.0202276.
Infectious Diseases (Lond)
巻: 50 ページ: 862-863
10.1080/23744235.2018.1498592.