感染症でendocanが発症後長期に高値を持続すること、菌血症ではより高値を示すことが明らかにされているが、感染性心内膜炎でも同様に 高endocan血症の長期持続性を有するのか、治療中もしくは終了時点での血清endocan濃度が、臨床経過、治療後の再発性を反映しているのかについては検討されていない。本研究では臨床症例での血清濃度の推移を治療開始から終了後まで継時的に解析する。対象は、非担癌症例である感染性心内膜炎症例11例に対して、 治療開始日を0日として、0、3、7±1、14±1、28±1日、及び治療終了後1ヵ月の血清を採取し、endocan濃度をELISA法にて測定した。また同時にプロカルシトニ ン、CRPを同時に測定した。 平均±SD の血清endocan濃度は0、3、7、14、21、28日目はそれぞれ2.21±1.63、1.41±0.95、1.79±1.87、1.73±1.52、1.46±1.62、0.66±0.48 ng/mLであった。一方プロカルシトニンは0.295±0.301、0.253±0.424、0.176±0.268、0.515±0.995、0.080±0.179、0.009±0.017 ng/mL、CRPは11.8±6.4、8.8±5.6、5.8±5.8、3.3±2.9、2.8±3.7 mg/dLであった。プロカルシトニンの正常化例は3日目で18%、28日目で36%と早期から正常化し、一方でCRPは3日目で0%、28日目で36%と遅れて正常化するのに対して、endocanは正常化のカットオフが設定されていないが、0.7 ng/mLとすると、3日目で0%、28日目で55%と治療終了時に基準以下となる割合が高く、治療終了のマーカーとなる可能性が示唆された。
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