研究課題
A群レンサ球菌(Group A Streptococcus)は、通常、上気道粘膜もしくは皮膚表面で局所感染を引き起こすが、劇症型レンサ球菌感染では急激なショックと菌血症を伴う致死的全身感染となる。劇症型感染臨床分離株において遺伝子発現パターンに変化が認められる一方、発症には宿主要因の関与が示唆されている。しかし、劇症型感染発症と病態に対する炎症メディエーターの関与は不明な点が多い。申請者らは劇症型感染マウスモデルにおいて、宿主防御的に働く新規IFN-γおよびIL-6産生未熟骨髄系細胞を発見した。本研究では劇症型溶血性レンサ球菌感染症における新規細胞の宿主防御メカニズムを明らかにすることを目的とする。A群レンサ球菌は未だ同定されていないToll様受容体によって認識されると考えられている。さらに申請者らの研究から、IFN-γ欠損マウス由来IMC様細胞およびIL-6欠損マウス由来IMC様細胞は、野生型マウス由来IMCsとは異なりA群レンサ球菌に応答してNOを産生できないため、細胞応答に異常があることが示唆されている。そこでまず、野生型マウス由来IMCs、IFN-γ欠損マウス由来IMC様細胞およびIL-6欠損マウス由来IMC様細胞をフローサイトメトリーにて分離精製し、その三者において劇症型レンサ球菌応答性の細胞内シグナル伝達を比較解析した。Toll様受容体シグナルにおいて重要なNF-κBおよび各種MAPキナーゼ(JNK、ERK、p38MAPK)等のシグナルをウェスタンブロット解析した結果、IFN-γ欠損マウス由来IMC様細胞およびIL-6欠損マウス由来IMC様細胞は、野生型IMCsと比較して細胞応答が減弱していることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
研究計画にしたがっておおむね順調に進んでいる。
研究計画を特に変更することなく進めていく予定である。
年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成28年度分についてはほぼ使用済みである。
上記のとおり。
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Sci Rep
巻: 6:28761 ページ: -
doi: 10.1038/srep28761.