1:マウスへの感染実験 肺炎球菌の生存性を評価するin vitro での実験では、劇症型肺炎球菌感染症および非劇症型肺炎球菌感染症由来菌株の細胞内での生存性に違いはみられなかったため、マウスを用いてin vivo 実験を実施した。劇症型肺炎球菌感染症から分離された血清型 23F (5株)、22F (4株)、10A (2株)、6A (1株)、6B (1株) 型肺炎球菌計 13 株を、C57BL/6 マウスへ径鼻感染し、14日間の体重減少および生死を観察した。その結果、すべての23F、10A 型肺炎球菌に感染したマウスには明らかな変化がみられなかった。22F型肺炎球菌の 4 株のうち 3 株および 6A 型肺炎球菌1株に感染した後、マウスの死亡および体重減少が観察された。22F型肺炎球菌の残りの1株に感染した後、マウスに変化は観察されなかった。6B型肺炎球菌による感染後、体重減少は1匹のマウスでのみ観察され、これはマウスの個体差による可能性があることを示唆している。以上の結果から、22F型肺炎球菌の病原性はC57BL/6マウスの径鼻感染により評価可能である。今後、劇症型肺炎球菌感染症および非劇症型肺炎球菌感染症由来肺炎球菌の病原性の違いをさらに調査する予定である。 2:22F型肺炎球菌の培養細胞におけるサイトカインの mRNA の発現 22F型肺炎球菌の感染による宿主側の防御反応を調べるために、マウスマクロファージ様培養細胞である J774.1 を用いてサイトカインのIL-6の発現量を測定しました。その結果、IL-6 の発現量は感染した肺炎球菌の菌量に依存していた。しかしながら、劇症型肺炎球菌感染症および非劇症型肺炎球菌感染症由来の菌株による IL-6 の発現量はほぼ同じで、株間に差はみられなかった。今後、肺炎球菌の株数を増やし、さらに検討する予定である。
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