研究課題/領域番号 |
16K09960
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
藤井 克則 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (70344992)
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研究分担者 |
宮下 俊之 北里大学, 医学部, 教授 (60174182)
梅澤 明弘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 再生医療センター, 副所長/再生医療センター長 (70213486)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヘッジホッグシグナル / ゴーリン症候群 / PTCH1 / 基底細胞癌 / ヘッジホッグ / 高発癌性疾患 |
研究実績の概要 |
Gorlin症候群は発達奇形(二分肋骨、大脳鎌石灰化、皮膚小陥凹)と発癌性(角化嚢胞性歯原性腫瘍、基底細胞癌)を特徴とする常染色体優性遺伝疾患である。本研究ではこのGorlin症候群の臨床的な特徴を明らかにするとともに、患者由来細胞(皮膚線維芽細胞、リンパ球)を用いた創薬スクリーニングおよび疾患の病態解明を進めている。Gorlin症候群では脳神経細胞の異常増殖に起因する大頭症が認められるが、本研究では正常日本人に比した頭囲の定量解析を行うとともに脳部位ごとの疾患特異性を報告した(Shiohama et al., Am J Med Genet Part A,2017)。創薬スクリーニングでは患者由来皮膚線維芽細胞およびリンパ球を用いたハイスルーアウトプットの薬剤感受性システムを薬学部と共同で開発中である。また研究分担者の梅澤はGorlin症候群患者由来線維芽細胞から山中4因子を導入することでiPS細胞の作成に成功し、その細胞特性を現在報告準備中である。さらに研究分担者の宮下らはこれらiPS細胞における複数のPTCH1遺伝子変異を同定し、変異修復過程における特異な変異変化があることを報告した(Ikemoto et al.2017 J Med Genet)。さらにゲノム編集によるPTCH遺伝子変異の改善を目指している。ヘッジホッグシグナルが骨代謝に及ぼす影響と、臨床上の骨密度変化の測定に関する検討も進めてており、本シグナル亢進がGliを介した骨細胞に及ぼす影響も予定通り今後進めてゆく。このようにGorlin症候群における細胞および臨床の分化・発生学的解析をすることで新たな知見を随時報告しており本研究計画は順調に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Gorlin症候群患者由来細胞を用いて、薬剤ハイスルーアウトプットシステムの構築を目指すとともに、分担研究者の協力でiPS細胞作製に成功した。これらiPS細胞を用いた機能解析およびゲノム解析を行うことで新たな知見を得て、順次報告してきている(Iekemoto et al., J Med Genet 2017; Shiohama et al., Am J Med Genet, in press)。Gorlin症候群の臨床像の解析も進めており本研究はおおむね順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
順調に課題の解決が進んでおり、今後の研究も引き続き継続してゆきたい。Gorlin症候群患者由来細胞を用いた薬剤ハイスルーアウトプットシステムの構築をさらに目指すとともに、分担研究者の協力でiPS細胞作製に成功したiPS細胞を用いて、さらなる機能解析およびゲノム解析を行うとともに、このiPS細胞を分化させて臓器作製を行うことでさらなる新たな知見を得ることを目指してゆく。
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