研究課題
申請者はこれまで先天性ケトン体代謝異常症、特にβ-ケトチオラーゼ(T2)欠損症、サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)欠損症の臨床と病態解明の研究を行ってきた。本研究では、既に患者遺伝子変異を同定しているHMG-CoA合成酵素(HMGCS)欠損症、まだ症例のない3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素(3HBD)、モノカルボン酸トランスポーター1(MCT1)の原因酵素のcDNAの発現実験系を確立し、これまで同定した変異について評価、発表することと,新たな疾患が発見されたときにいち早く解析出来る様準備しておくことを目的とする.本年度はHMGCSの発現系の構築を中心に行った。基本的にヒト線維芽細胞においてはHMGCS欠損患者由来でなくてもHMGCSの発現がないことからβ-ケトチオラーゼ欠損症欠損SV40-transformed cell lineが発現系細胞として使えることが明らかになった。Wild-typeおよび4つの同定した遺伝子変異ベクタをpCAGGSにて構築も終了し、発現実験を行ったが予想よりタンパク発現が少なく、Wild-typeと変異体で差を明らかにできず現在検討を加えている。また3HBD欠損細胞は、3HBDノックアウトマウスのfetal fibroblastsを樹立中である。MCT1欠損細胞は現在CRISPR-Cas9系でノックアウトを試みている。アセトアセチル-CoA合成酵素欠損症(AACS)については既に共同研究者が発現系を確立しており、今回の研究であらたに構築する必要性はなくなった。
2: おおむね順調に進展している
計画通り進んできたが、最終段階でなぜHMGCSの発現が弱いのかまだ解決できていない。ほかの2つのタンパクについては欠損細胞を作成中であり、予定通りである。
HMGCS発現系について、もう一度発現ベクター内のHMGCS cDNAの配列のチェックから見直す。これまでの経験から発現がこのタンパクのみ低いというのは考えにくい。MCT1の欠損細胞はCRISPR-Cas9系でノックアウトを試みているが、MCT1の発現を確認するイムノブロットの感度が低いためこちらの工夫も今後の発現系確立のために必要と考えている。現時点で欠損症患者がいるのはHMGCS欠損症であり、その変異の評価を行うのが最も重要な点である。
端数が生じたため。
平成29年度の予定と併せて活用する。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
JIMD Reports
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