研究課題
Down症候群は、21番染色体の数的過剰により、精神発達遅滞をはじめ多彩な合併症を招来する症候群で、地域・時代・人種を問わず人口の0.1%弱の人が有する症候群である。本研究は、Down症候群由来細胞を用いて、トリソミックレスキュー、すなわち過剰な21番染色体を消去する方法の科学的探索および確立、ならびに知見を統合して最適な新規治療用ベクターの構築を志向するものである。本研究では、当該施設の倫理審査承認を経て、Down症候群の人由来の皮膚線維芽細胞株、およびこの細胞株よりiPS細胞株を樹立し、両親を含めた縦列型反復配列(STR)解析を通じて、各21番染色体の由来を把握した。ついで、Cre-loxpシステムを利用した染色体消去法により、3本の21番染色体間での塩基配列の相違のリスト化(phasing)に成功した。このphasing情報を用いて、単一の21番染色体のみを認識する複数のsgRNAおよびCas9蛋白質発現プラスミドを構築した。なお、3本の21番染色体の各1本を消去した誘導型ダイソミーiPS細胞株、およびトリソミーiPS細胞株は、遺伝学的背景が同質であり学術上の価値を有するため、国内外の研究者が広く利用できるよう、公的細胞バンクへの寄託手続きを開始した。当初は、核型正常化作用を有すると報告される蛋白質ZSCAN4を細胞質型ウイルスベクター(パラインフルエンザ2型)にて強制発現させる系を確立し、複数の異なる条件下で核型修正化(トリソミーからダイソミーへの変化)の有無を検討したが、使用した条件下では核型修正は確認されなかった。そこで、上記単一の21番染色体のみを認識するCRISPR/Cas9システムで、染色体の複数箇所切断を行うと、10%以下の比較的低頻度であるが、21番染色体特的プローブを用いたFISH法にて核型修正効果が確認された。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 4件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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